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『夢見月夜曲』は日高千湖のオリジナルBL小説ブログです。

初恋学概論1

 恋をして恋を失った方が一度も恋をしなかったよりマシである   アルフレッド・テニソン



 たっちゃんに振り向いて欲しかった。彼の瞳が追う先にはいつも倉和奏。僕がどんなに頑張っても、奏ちゃんにはなれないと思い知らされたのは、彼に抱かれてからだった。


 お金に不自由した事は生まれてこの方一度もない。不自由していたのは人の愛情だと思う。

 父には他所に若い愛人がいて、そこには愛人が生んだ子どもまでいるというご丁寧さ。祇園で舞妓をしていたという女の人には一度だけ会った事がある。家に帰って来ない父に堪忍袋の緒が切れた母が、女が住んでいるマンションに乗り込んだ時に一緒に連れて行かれたからだ。

そこは六本木の有名なタワーマンションで、小さな女の赤ちゃんが愛人の腕の中で泣いていたっけ。オギャアオギャアと泣き続ける小さな『妹』のモミジのような手に夢中になった僕は、抱っこしてみたいなあ、なんて考えていた。

「夫を返せ!」と怒鳴る母親と「出て行け!」と叫ぶ愛人の争う声を聞きながら、僕は『妹』の存在に光明さえ見ていた。


「飛鳥さん?遅刻しますよ」

「あっ、ごめん!ちゃんと食べてるよ。この紅鮭、美味しいね!いつもの京都のお店から、取り寄せたやつだよね。そうそう、鎌浦さんの作ったお弁当、大評判だよ。みんな喜んで食べるんだ!」

「まあ!良かった、皆さんに仲良くして頂いて。今日も多めにお作りしましたから」

4年前からうちに住み込みで働いている鎌浦さんが嬉しそうに笑う。

「ありがとう」

嘘だよ・・・こんな重箱に入った弁当なんて、最初は恥ずかしくて教室では開けられなかったよ。

今ではもう、名物になっちゃったけどね。

小さな嘘は「嘘です」とは言えずに、気が付けば雪ダルマのように大きくなって「みんなが弁当を待ってる」なんて大法螺を吹いてた。

そして今日も二段お重の弁当を持たされる破目になってしまった。鎌浦さんは、僕が吐いた小さな溜息には気が付かない。

「お友だちを連れていらっしゃいませよ」

「うん」

母は海外旅行中、もう1ヶ月も顔を見ていない。母は僕の中学の入学式にも、誕生日にも帰って来なかった。


まあ、どうでも良いけど・・・慣れてしまえば、そんなものかと思えるもんだ。


「いってらっしゃいませ」と送り出されて、「電車とバスで通いたい」という僕の希望は通った事がないから、今日も運転手付きのクラシックカーでご登校だ。友人たちには羨ましがられるけどね。

一口に『星望』と言ってもそれぞれの家庭で考え方が違って、うちみたいに「誘拐されては困る」という理由で送り迎え付きの生徒もいれば、通える距離なのに『精神鍛錬』というヘンテコな理由で寮に入れられる子とか、「普通の生活をさせたい」という事でバス、電車を使って通う子もいる。

「ねえ、僕も中学生だし、電車とバスで通いたいんだけど・・・」

無駄だとは思ったけど、運転手の吉山さんに言ってみる。

「坊っちゃん、私が失職してしまいます」

いつもと同じ答えが帰ってきた。

「そうだね」

「はあっ」と小さな溜息を吐く。吉山さんに聞こえないように、小さく小さく。

吉山さんは「校舎の玄関の車寄せまでお送りします」と言い張ったが「失職するよりも良いでしょう?」という僕の言葉に、「一番近くのコンビニでお待ちします」と言って納得してくれた。

だから、星望に入学して以来ここで車を乗り降りする事になっている。

車を降りた僕は、コンビニに入る。お気に入りのハーブティのペットボトルを持つと、雑誌コーナーで週刊誌を広げて視線はガラスの向こうへ。

待つ事、約3分。

来た!

僕の初恋の人・・・井上辰弥だ。


「これ、下さい!」

「148円です」

ポケットの中の小銭入れから小銭を出し、支払いを済ませる。

「150円お預かり致します」

ゆっくりとした手付きでレジを打って「2円のお返しです。ありがとうございました」と釣り銭を返し、袋にペットボトルを入れる店員。

早く、早く!

渡された袋を引っ手繰るようにして、僕はコンビニを走り出た。タイミングが合わなければ、たっちゃんが信号を渡ってしまう。歩行者用信号機はすでに青が点滅中、たっちゃんはもう道路の向こう側・・・ダメだ、間に合わない。

「あ~あ」

大きな溜息。

運動音痴は当然、足も遅い。

「おはよう、飛鳥」

「はっ、お、おは、よう」

肩で息をする僕の後ろから声を掛けてきた人は高等部3年の井上肇さん。

「ございます」

彼はたっちゃんの従兄弟だ、結構カッコいい。従兄弟だから横顔とかたっちゃんに似てる。

「飛鳥はさあ、金払ってから雑誌を見てれば良いんじゃないのか?」

「・・・なるほど」

「今まで気が付かなかったのか?」

て言うか、肇ちゃん知っていたのか、僕がここで待ち伏せしていることを。

「はい」

信号が変わるのを待ちながら、「あははっ」と肇ちゃんが笑う。

「辰弥はお前がまだ自分の事を好きだって事、わかってんのか?」

「うん、多分」

だんだん遠くなるたっちゃんの背中。バスを降りて歩いて来る生徒たちが左から合流し、その背中を隠してしまう。やっと信号が変わり肇ちゃんと並んで信号を渡った。

本当はたっちゃんと渡る予定だったのに・・・。

「そんなに簡単に人を好きになったり、嫌いになったり出来ないもんだってわかんねえかなあ。なあ?」

「・・・いいんだ」

「あいつ、好きなヤツいるんだろう?」

「・・・知らない」

「飛鳥、俺と付き合おうか?」

「えっ?」

立ち止まった僕の背に肇ちゃんの腕が回る。背中を押されて、再び歩を進める僕は肇ちゃんの言葉が理解出来なかった。

「俺は飛鳥の事、可愛いと思ってるし・・・軽い気持ちで『うん』と言えよ」

「・・・」

「『ペット』じゃないぞ。俺は、お前が1年の時上級生を何人か家に連れ込んだ事も知ってる。そんな事するくらいなら、俺のものになって」

意外と真剣な眼差し。

「・・・やだ」

「俺でいいじゃん!」

笑顔に変わった。

「やだ」

「辰弥がいいのか?」

「うん」

「昔、本家に『お化け部屋』っていう暗い部屋があってさ、みんなでかくれんぼしてたんだ。辰弥は隠れた箪笥の中が怖くてお漏らししたんだぞ」

「はははっ!何歳?」

「4歳」

肇ちゃんは優しい。

たっちゃんは肇ちゃんの事を「お人好し」って言うけど、僕は居心地がいい。

「お漏らし園児と俺、どっちがいい?」

「お漏らしくん」

「バ~カ!」

肇ちゃんは僕にヘッドロックを掛けてじゃれ付く。

「痛いよ!肇ちゃん!」

「はははっ、辰弥はモテるもんなあ!まあ、いいか。俺に素敵な恋人が出来てから悔しがるんじゃないぞ?」

「わかった」

「じゃあ、昼休みに学食で!」

手を振りながら高等部の下足置き場に向かう肇ちゃんを見送り、僕が今日も二段お重のお弁当を持たされた事に気が付いて「学食で!」と言ってくれたんだとわかった。

「井上一族って、気が利くヤツばっか!」

「付き合って」と言ったのは本心じゃないと思う。

僕が毎日コンビニでたっちゃんの到着を待ち、偶然を装って「おはよう!」と声を掛ける事も知ってた肇ちゃん。

どこまで本気で、どこからが冗談なのかさっぱりわからないけど・・・たっちゃんの事を「諦めろ」って言ってくれてるんだと思う。

「諦める」・・・諦めてるんだ。

頭じゃわかってるんだけど、『初恋』って枷から抜け出せない僕の心は未だに井上辰弥から離れられないでいた。

*****

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初恋学概論2

 昼休みに学食に行くと、僕を見つけた肇ちゃんが手を上げた。なぜか、たっちゃんも隣に座っている。たっちゃんは僕を見つけると「飛鳥、こっち!」と声を掛けてくれて手招きする。

この3年間、残念な事にたっちゃんと同じクラスになった事は一度もない。

誰がクラス分けしてるんだろう・・・きっと僕に対するイジワルだ。そう言うと友人の平井大貴くんは「寄付が足らないんだよ『オオキタ』」と、笑った。

大ちゃんのおじいさんはみんなから『寄付マニア』と呼ばれるくらい、星望学園に寄付しているらしい。なんでも大ちゃんの叔父さんが生まれた時に、中・高等部が建っているこの丘陵地を寄付したのはひいじいちゃんだと言っていたくらい、寄付が好きな一族だ。

高等部では一回くらい同じクラスになれると良いなあ。お父さんに「寄付して」って言ってみるかなあ・・・?

「飛鳥の弁当も久しぶりだなあ!」

たっちゃんが自分の弁当箱を開きながら、僕の弁当箱を見て笑う。大きな袋に入れられた二段お重の弁当箱・・・軽く3人前は入る弁当箱は汁漏れも防げる機能派だ。

「お重はイヤだって、まだ言えないのか?」

「うん、時々だから協力してよ」

「まあ、いいけど。今日は肇ちゃんが『来い』ってメールしてくれたからさ」

「そっか!」

肇ちゃん、ありがと!

最近は同じクラスの大ちゃんと一緒に食べる事が多かったから、学食まで来る事は少なかったからな。人気者の大ちゃんが一緒だと、クラスの子も横から「くれ!」と言い易いのかみんなに食べてもらえる。

大ちゃんは今日は隣のクラスの寺田くんと一緒に、宿題をしながら食べている。

「鎌浦さんの玉子焼き最高だなあ!」

「うん、上手い!」

2人は自分のお弁当も広げているけど、僕の二段お重の弁当箱も減らしてくれる。

たっちゃんは、僕が好きなたっちゃんのお母さんが作った筑前煮を分けてくれた。肇ちゃんのお母さんが作るゴボウとにんじんとレンコンの三種きんぴらも大好き。

僕の好物がわかってる2人はおかずを物々交換してくれる。こういう煮物って家によって味が違うし、彼らのお弁当にはお母さんの愛情がギュッと詰まってて美味しいんだ。もちろんプロの鎌浦さんのお料理は味も栄養バランスも考え抜かれたもので、それはそれで良いんだけど・・・僕んちの味じゃない。

「ねえ、たっちゃん」

「なんだよ」

たっちゃんの箸が僕の前に来て、鶏のから揚げを持っていく。パクッと口に入れたたっちゃんが視線を合わせて話を聞いてくれる。

「放課後でいいから菊爺の宿題、わかんない所教えてくれる?」

「ああ?俺は放課後、代表委員会なんだよ。無理!」

だから、大ちゃんは昼休みに寺田くんに教えてもらってたのか・・・。

「代わりに、肇ちゃんが教えてくれるってさ」

たっちゃんは肇ちゃんに話を振り、から揚げ2個目を口に入れた。その様子を見ていた肇ちゃんが笑う。

「肇ちゃん、良いだろう?」

「ああ、いいぞ」

肇ちゃんもから揚げを口に放り込む。

「やった!苦手なんだ物理」

声をあげた僕に、たっちゃんが笑いながら言った。

「だいたい理科が苦手なのになんで工学部に行くんだよ」

「・・・いいじゃん、頑張るもん」

「頑張るもんって・・・いつも口だけだろ?『たっちゃん、宿題見せてくれない?』なんて、上目遣いに見上げてさ、可愛いから許すけど。大貴と2人して、人生舐めてんだよ!」

酷い・・・たっちゃん。

「飛鳥、俺と同じ法学部にしろよ。物理も化学もないぞ。それにお前、親父さんの会社に入るんなら法学部か経済だろ?理科が苦手なら、止めとけ。そのうち物理の菊爺の首を絞めたくなるぞ」

「ホント?」

たっちゃんが気の毒そうに「ああ、高3の夏休みには菊爺は鬼に変わるらしいからな」と言った。

「肇ちゃん、どう?ホント?」

「ああ、鬼の片鱗はすでに見え隠れしてる」

「ふうん・・・まだ、6月なのに?」

「ああ」

たっちゃんと同じ学部で大学時代を過ごしたかった。たっちゃんは工学部に進学すると言っていたから。

まだ中等部だから文系と理系には別れないけど、高等部2年になると別れてしまうから文系には進みたくない。だけど、僕は理科が苦手なんだ。

星望は中高一貫校だから、独自のカリキュラムで授業は進む。中等部でも『理科』ではなく化学、物理、生物に分けて授業が進むから、それぞれの専門の先生が授業を受け持つ。僕たちの学年の物理の先生は菊地先生といって、温厚で『菊爺』の渾名のとおり白髪が目立つおじいちゃんだ。

聞けば、たっちゃんの親戚で30歳の人がいるけど、彼も「菊爺」と呼んでいるらしい。「菊爺」はいつから「菊爺」なんだろう。実際、何歳なんだ?

「おい!飛鳥!」

「えっ?あ、うん」

「放課後、図書室の学習スペースにいるから来いよ」

「ありがとう!肇ちゃん!」

弁当箱を片付けた肇ちゃんが立ち上がり、手を振った。その後姿を見ながらたっちゃんは厳しい一言。

「飛鳥、甘えないで自分でやれよ」

「わかってるもん」

たっちゃんが最後のから揚げを口に入れ、自分の弁当箱に入っていたプチトマトを手に取ると、「飛鳥、あ~ん」と言った。

「あ~ん」

「はい」

プチトマトが舌に乗った。

「嫌いなの?」

「いや、好きだよ」

『好きだよ』・・・僕の事をそう言って欲しいよ。

「じゃあ、どうして?」

「弁当に入ってるのは生温いから、イヤなんだ」

「あっそ」

口の中で弾けたプチトマトが、なるほど生温い・・・冷たく冷やした方が美味しいよね。僕は・・・生温いトマトだ。

奏ちゃんにはこんな事はしないんだろうな、きっと最高に美味しいプチトマトを食べさせるんだ。


「ひゃっ!」

首筋に冷たい物が触れた。振り向くと肇ちゃんが、デザートコーナーで人気のフラッペを手に持って立っていた。

「これ、弁当のお礼だ。ご馳走さま!」

「ありがとう!肇ちゃん!」

僕が好きな白玉とソフトクリーム乗せのイチゴ味フラッペ。

「肇ちゃん、俺のは?」

「俺の可愛い飛鳥を苛めるから、たっちゃんにはナシ!」

「酷いなあ!苛めてないぞ、なあ?」

「うん!」

長いスプーンを受け取って、肇ちゃんに「白玉一個あげる」と言うと「全部、飛鳥にあげる」と笑った。たっちゃんは「肇ちゃんは飛鳥に甘すぎる」と言うと、僕の手からスプーンを取り上げて自分の口に白玉を運んだ。

「じゃあな!」

「肇ちゃんって優しいなあ」

「肇ちゃんって、飛鳥の事が好きなんじゃないか?」

「えっ?」

たっちゃんが立ち上がって長いスプーンをもう1本持って来た。

「違うか?」

「・・・今朝、『俺と付き合ってよ』って言われた」

「ふうん・・・マジ?」

「うん」

僕が考え込んでいる間に、たっちゃんは僕の白玉を全部自分の口に入れた。

僕のスプーンは、肇ちゃんの言葉に捉われて止ったままだった。

*****

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初恋学概論3

放課後、図書室に行くと学習スペースの窓側に座っている肇ちゃんがいた。

「肇ちゃん、よろしくお願いします」

「お礼はチューでいいぞ」

「マジ?安いなあ!」

「じゃ、身体で払って」

「値上がりした」

「いいじゃん!」

話しながら肇ちゃんの隣の席に座り、カバンの中から菊爺の宿題を出した。B4サイズのプリント3枚には手書きの問題がびっしりと並んでいる。

「・・・肇ちゃんさあ、本気で言ってるの?」

「冗談だよ」

「もう!」

朝から肇ちゃんの冗談に振り回されてる気がする。

でも、肇ちゃんは優しい・・・性格的に大らかなんだと思う。

僕の物理には向かない頭をなんとかしてくれる気がする。菊爺の宿題は僕を毎週末悩ませてくれる厄介な代物で、いつも悲しいくらいに時間が掛かって・・・大ちゃんは毎週末、寺田くんに教えてもらってるって言ってた。

たっちゃんと寺田くんはテストの度に学年1位を争う秀才だ。毎回数点差で1,2位に2人の名前が並ぶ。

「水の密度は1.0g/cm3 水深8cmなので・・・飛鳥?聞いてる?」

「うん」

肇ちゃんの横顔はたっちゃんに似てる。顔の輪郭が似てる。鼻筋も似てるけど目は違う。肇ちゃんも睫毛が長いけど、たっちゃんの方がもっと長くて目が切れ長、肇ちゃんはどちらかと言うと丸い目だ。

だから「お人好し」に見えるのかなあ・・・優しげな雰囲気。たっちゃんに「柔和」という言葉を足して「温厚」で割った感じ。

「飛鳥?」

「ごめんなさい」

「聞かねえなら、帰れば?また、辰弥の事でも考えてるんだろう?俺は辰弥じゃないぞ」

肇ちゃんは怒ったように言った。当然だよね・・・教えてくれてるのに、僕は彼の顔を見ながらたっちゃんの事を考えていた。

「・・・肇ちゃんが、『付き合おう』なんて言うから・・・」

僕がそう言うと、肇ちゃんは面白そうに顔を覗き込んで笑う。

「じゃあ、その気になった?」

顔、近い。

「違う」

頬に唇が触れそうな距離。

「じゃあ、なんだよ」

「興味が湧いたっていうか・・・」

「ふうん、いい傾向だな」

「いい傾向?」

肇ちゃんは僕のオデコを持っていたシャーペンでパチッと叩いた。

「痛てっ!」

「そうだよ、たまには違うヤツを見てみろよ」

「うん」

「辰弥よりもイイ男いるかもしれないだろう?飛鳥は今、目隠ししてるのと同じだ」

「そうかも!」

肇ちゃんは優しい、そして良い人だ。たっちゃんが言うとおりお人好しだ。

僕にたっちゃん以外の人に目を向けろと教えてくれる。

「いいか、誘って軽く寝てみろって言ってんじゃないぞ?」

「・・・うん、わかってる」

「他にもいるだろ?俺とかさ!」

「うん」

「じゃあ、付き合って!?」


本気なのかな・・・冗談なのかな?

肇ちゃんの本心がわからない。「OK」って言ったらまた、「冗談だよ」って言われそう。


「・・・なんか、やだ」

「ホント、腹立つなあ!」

肇ちゃんは今度は教科書で僕の頭をポンと叩いた。

「痛いっ!」

「失礼!そうだ、明後日の日曜日だけど映画を観に行かないか?招待試写会のチケットもらったんだけど」

「うん!いいよ!なんていう映画?」

「ええっと・・・」

肇ちゃんが見せてくれたのは『3日だけの恋人』という映画のチケットだった・・・主演・藤代未知久。

「ミッチーだ」

「俺の担任はミッチーが中3の時の担任だったんだ。ありがたくもこの俺がクラス委員を引き受けてやったから、『お礼に』ってくれたんだよ。藤代のヤツ、律儀な事に試写会の招待券とかコンサートの関係者席のチケットを送って来るんだってさ。今回はどうしても行けないからってくれたんだけど。ミッチーの舞台挨拶があるってさ、どうする?」

雑用が多いから、高3はクラス委員を引き受ける人がいないと聞いた。卒業後の同窓会役員とか謝恩会の実行委員とか面倒くさい役がオマケに付いてくるからだ。

たっちゃんと寺田くんは毎年、自薦他薦を問わず「良いですよ」と軽く引き受けるらしいけど・・・。

「・・・行く。記念にサインもらおうかなあ!」

「色紙を持って行け」

「うん!」


本当は迷っていた・・・藤代さんが転校してから彼とは一度も会っていない。


 あの頃の僕は、どうかしてた。

たっちゃんの事が好きでわざわざ星望に来たのに、たっちゃんに振り向いてもらえなくて・・・たっちゃんは倉和奏に夢中で僕の事なんか見ていない。「練習しよう」と自分から誘ってセックスしたけど・・・なんというか、空しいだけだった。

余計に寂しくなって、彼が言ったように誘ってくる上級生が気に入れば家に誘った。

誰でも良かったんだ・・・僕の事が噂になって、それがたっちゃんの耳に入ればいい。こんな事になったのは自分の所為だと彼が苦しめば良い、なんて事も考えた。

たっちゃんの所為じゃないのにね・・・自分勝手だ、僕。


藤代未知久とは、家で開かれたパーティーで知り合った。彼は母親の女優・藤代早紀と一緒に来ていた。

デビューが決まった彼を父の会社で製作するCMで起用された縁もあって招待されてたんだけど・・・未知久をベッドに誘うと、彼は二つ返事でOKした。

「俺、好奇心旺盛なんだよ」と、彼は言った。

女の子とは経験があると言ったけど、オトコは初めてだって言ってた。ミッチーは見掛けは派手だけど、本当は真面目で優しい人だった。

デビューの事も「本当は怖いんだ。一緒にユニットを組むヤツも俺が親の七光りでデビューするから、それに便乗しようと思ってるヤツと俺の事バカにしてるヤツの2人・・・上手くいくわけないと思うんだけど」と、冷静に判断していた。

藤代早紀は未知久の父親の『内縁の妻』で、未知久は非嫡出子。僕の母は父の前の奥さんを追い出して、正妻に納まった・・・彼と僕は似たような境遇だ。

年の離れた兄はアメリカの大学院で学んでいるけど、去年「家を継ぐ気はない」と宣言して父を慌てさせ、母を驚喜させた。母は僕が「跡継ぎだ」と言い出して、「飛鳥ちゃんが星望に行きたいって言った時は反対したけど、今にして思えば本当にラッキーだったわ!」と喜んだ。

僕が会社を継げるわけないじゃないか。

新しい愛人に愛情を奪われ、愛人が生んだ女の子が可愛くて仕方がない父は家には寄り付かないから、母は焦っている。自分が前妻を追い出したように、いずれは自分が若い愛人に追い出されるんじゃないかってね。


父は『オオキタ』は僕ではなく、兄に継がせたいんだ。そして女の子が欲しかった父の愛情は僕には向かない。


僕はどうでもいい子なんだ。いてもいなくても同じ・・・。


「楽しみにしてるよ。肇ちゃん、ありがとう!」

「そっか!俺も楽しみにしてるよ」


こうして、僕は肇ちゃんと一緒に藤代未知久の主演映画の試写会に行く事になった。

*****

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初恋学概論4

 藤代未知久は僕には優しい人だった。あまり交流がない実の異母兄よりも余程、お兄さんって感じ。まあ、お兄さんとは普通セックスはしないけどね。


学校では彼1人だけが金髪に染めていたし、だらしなくネクタイを締めたりとか・・・紳士予備軍がウヨウヨしてる星望でかなり浮いた存在だった彼は、その見た目からみんなに敬遠されていたけど本当は優しくて不器用な人だった。

髪を染めていたのは宣伝用のポスター撮りの為だったし、それをわざわざ言い訳めいて言わないのが彼だ。それに、校則が緩い高校にはあれくらいの色に染めた人っているよね。星望だから目立ってただけだったんだ。


たっちゃんの事が「好きなんだ」と、泣いた僕に「もうこんな事は止めろよな」と叱ってくれた。「寂しかったら、俺を呼べば良いだろう?」と慰めてくれた。たっちゃんには僕の事は「なんとも思ってない」って言ったらしいけど・・・。


転校する前に僕が関係を持った他の上級生を呼び出して、「飛鳥にちょっかい出すな」って言ってくれたのも彼だ。おかげで彼が転校した後、以前関係を持った上級生に呼び出されたりするような事もなかった。

これからデビューする彼に同性の恋人がいるなんて噂は困るはずなのに、「気にすんな」って笑ってくれた・・・自分が後々不利になるかもしれないのに。

何度も泊まりに来てくれたし、僕はお兄さんが出来たみたいで嬉しくて・・・本物のお兄さんは碌に話をした事もないからね。


 試写会は午後16時から。

15時半に待ち合わせて、肇ちゃんと合流。

始めて見た私服の肇ちゃん。紺色のジャケットにチノパン、カラフルなストライプのシャツ・・・大人っぽいし、カッコ良い。僕の長袖Tシャツに細身のジーンズとジレはちょっと子どもっぽいかなあとは思ったけど、やっぱり失敗だ。

「可愛いなあ!飛鳥、その服似合ってる」

「ホント!?」

「ああ、Tシャツの色が飛鳥のイメージにピッタリだ」

僕のイメージ・・・いろいろな色が混じったマーブル柄。こんなイメージなんだ、僕って。

「行こう」

スッと肩に添えられた手、リードしてくれる様子が様になってて改めて肇ちゃんがカッコ良いと確認した。


 会場は招待されたマスコミ関係者が4,50人と抽選で選ばれた300人。

前方は藤代未知久の女性ファンが彼のイメージカラーの青いタオルやうちわを持って、ミッチーの登場を待ち構えていた。ワクワクした空気に包まれた会場は異様なボルテージ。

後方の関係者席には俳優やお笑い芸人、有名な芸能レポーターや映画評論家の顔も見える。

僕たちは後方の関係者席の一番隅に案内されたが、スタッフの中に肇ちゃんが『円井グループ』の創業者一族だと気が付いた人がいて「井上さんの坊ちゃん!」と席まで挨拶に来たり、以前ホームパーティーに来た事がある映画の配給会社の人が僕の顔を覚えていて『オオキタ』の社員を呼びに行ったりして、僕たちの席は真ん中の良い席に変更されてしまった。

「拙かったかな?」

父に報告されたら、イヤだなあ・・・。

「良いんじゃないか?別に俺たちが名乗って替えさせたわけじゃない」

「そうだね」

「心配するなって!」

肇ちゃんにそう言ってもらうと安心できる。3つも年上だし・・・やっぱり、頼り甲斐がある。


 試写会が始まり、藤代未知久の初主演映画・『3日だけの恋人』の上映が始まった。ストーリーは月並みな感じの恋愛映画だけど、ミッチーの演技は格段に上手くなっていた。デビュー当時のたどたどしい感じはすっかり消えた。

この映画は前評判が高くて、早くも「藤代未知久の代表作になる」とまで言われている作品だ。特に「アイドルのミッチー」としてではなく「俳優・藤代未知久」としての評価が高いと聞いた。


そういえば「まずはアイドルとして世間に認知してもらってから、俳優活動を始めようと思ってるんだ」と、言っていたな。「どうせ二世タレントとしか見られないんだから、母親の名前をトコトン利用して上り詰めてやる」とも言っていた。

彼は星望にいた時から歌とダンスだけではなく、有名な劇団で役者の勉強もしていた。極々身近な人間しか知らない、ミッチーの真実。「練習なんて嫌いだ」と言っていた彼は本当は練習の虫だ。その努力が実ろうとしている・・・羨ましいな。


 約2時間半の上映が終わり、明るくなっても恋人たちの別れの場面に涙した女性たちの感動は収まらない。僕たちの後ろに座っていた映画評論家たちからは「意外と藤代が良かったな」という声も聞こえてくる。

会場が明るくなり最前列にマスコミのカメラが移動して、舞台挨拶の準備が終わった。女性司会者の声も心なしか華やいで聞こえる。

「それでは皆さんお待ちかねの、藤代未知久さんに登場して頂きましょう!」

上映中に啜り泣いていた女性客の声は歓声に変って場内に響き、舞台袖から主演の藤代未知久が登場した。

「キャーーーーッ!」「ミッチー!」と黄色い声が飛び交う中、舞台に登場した藤代未知久は白いジャケットに黒いランニングシャツとダメージジーンズ、胸元にはシルバーの大きなネックレス。映画の役にイメージにピッタリな服装だ。


「カッコ良くなったな、あいつ」

「うん」

磨きがかかったって感じ。

金髪は落ち着いたブラウン系に変わっていた。きっと新曲が初夏の失恋ソングだから落ち着いた色に染め直したんだ。女性たちの歓声を浴びながら映画の事や「恋人は?」とか個人的な質問にユーモアを交えて応えたミッチーは投げキッスしながら舞台袖に消えた。

僕たちに気付いた様子はない・・・ちょっと残念かな?

「さあ、帰ろうか」

「うん」

立ち上がった僕たちに、関係者とか『オオキタ』の社員が飛んできて再び挨拶。

「お父上によろしく」なんて言われてもねえ・・・家に帰って来ない父には、パーティー以外では会う機会なんてないんだけど。適当に返事をして席を離れたはいいが、300人もの観客が一斉に立ち上がったのだからすぐには動きが取れない。

「飛鳥、人が少なくなるまでここで待とう」

「うん」

促されて席に戻った僕たちの所にまた違う人がやって来た。40歳くらいのヨレッとしたスーツを着たおじさん。

「こんにちは、君たちが星望の子?大北くんと井上くんに間違いないかな?」

「はい、そうですが」

「良かった!私は未知久のマネージャーです。未知久が話をしたいと申しますから控え室に来てもらえますか?」

肇ちゃんが「飛鳥、どうする?」と聞くから僕は「行く」と答えた。

遠い所に行ってしまったミッチーに「頑張ってね」と言いたかった。

マネージャーは「時間がないから、手短にお願いしますね!」と僕たちが会いたがっているかのような言い方をした。それにはちょっとムッとしながら、非常口から関係者オンリーのドアを開けて、ミッチーの控え室に向かうマネージャーさんの後に従った。

『藤代未知久様』と張り紙がされた控え室のドアを、乱暴にノックしたマネージャーはイラ付いた様子。「時間がない」と言ってたから、きっと急いで次の仕事場へ移動しなきゃならないんだろうと思った。

返事も聞かずにドアを開けて僕たちを中に押し込むと「未知久、5分だけだぞ!」と言って乱暴にドアを閉めた。

「よう!久し振り!飛鳥、元気だったか!?」

大きな鏡の前にはさっきの衣装のままの藤代未知久が座っていた。約1年半ぶりかなあ・・・。

「うん!ミッチーも元気だった?映画面白かったよ!」

「ありがとう!井上も、来てくれてありがとう!チケット、益田先生からもらったんだろう?」

「ああ、俺の今の担任が益田なんだ」

ミッチーは気軽に肇ちゃんと握手して、僕をギュッとハグした。

「わあっ!」

「なんだよ、俺とお前の仲じゃん」

「う、うん」

笑えないよ、ミッチー。

肇ちゃんは笑いながら「ミッチー、俺のだから」と言って僕を奪い返した。その様子を見て未知久はつまらなそうに「付き合ってんの?」と聞いた。

「ああ」

「えっ!?」

なに言ってんだよ、肇ちゃん。


肇ちゃんは未知久の手が届かないように、自分の身体の後ろに僕を隠した。


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初恋学概論5

 久し振りに会った藤代未知久は、芸能界で磨かれてますますカッコ良くなっていた。舞台挨拶の時に僕たちが来ている事に気が付いた彼に呼ばれて、僕と肇ちゃんは彼の控え室に行ったんだけど・・・。


未知久は肇ちゃんが僕の事を「俺のだから」なんて言うから、僕の顔を覗き込むようにして聞いた。

「もう1人の井上は良いのか?」

「辰弥の事は忘れたってさ」

僕を置いて話は進む。

「ふうん」

「映画は大成功だな。俺たちの後ろにいた映画評論家のロディ・赤川が『ミッチーが、良かったわあ』って言ってたぞ」

「ああ、ロディちゃん?明後日の番組でもちゃんと10点出してくれると良いんだけどな」

ロディ・赤川は辛口映画評論家として名を馳せるオカマさんだ。彼がレギュラー出演している朝の情報番組では彼が観た映画を10点満点で評価するんだけど、彼が「10点!」なんて言うと途端に客足が増えるらしい。キレの良い発言と、抜群のファッションセンスで主婦に人気のコメンテーターだ。

未知久は肇ちゃん越しの僕に話し掛ける。

「飛鳥、元気だったか?ますます可愛くなったな。真正面に飛鳥と井上が見えたんだけど、最初は辰弥と来たのかと思ったぜ。よく見たら肇だったから、声を掛けさせてもらったんだ」

見えてたんだ。視線を感じたとか、こっちを見てるとかそういうの全然わからなかった。

「うん、元気だったよ。ミッチーも凄い人気だね!」

「ありがとう、たまには電話しろよ」

「うん・・・でも、迷惑なんじゃないのかなあと思って・・・有名人だし」

「気にするなよ。忙しくても着信があれば、暇な時に掛けなおすから。メールでもいいぞ、なっ?」

「うん」

トントンとドアをノックする音。

「未知久、急げ!」

マネージャーの声だ。

「今からミュージック・サンの収録なんだ、わざわざ来てもらって悪かったな。ありがとう」

未知久と一緒に控え室を出た。さっきまで普通の高校生っぽい顔だったのに・・・流石だ。ドアが開いた瞬間にスター・藤代未知久の顔に変わる。

「藤代も頑張れよ」

「ありがとう」

未知久は振り返りながら手を振ると、待っていた女性と一緒に颯爽と歩いて行く。肇ちゃんが控え室の荷物を整理を始めたマネージャーに「どうもありがとうございました」と頭を下げた。

「来い」って言われたから来たのに・・・僕たちが「星望の友人です、会わせて下さい」って、頼んだみたいじゃないか。ちょっと悔しくて、僕はそこに突っ立ったままでいた。

「帰ろうか?飛鳥」

「うん・・・肇ちゃん、お礼なんて言わなくてもいいのに」

口を尖らせて小声で不満を言った。

「いいじゃん、減るもんじゃない」

「でも」

「行こう」

立ち去ろうとした時に向こうから来た配給会社の人が、肇ちゃんと僕を見付けて「お帰りですか?」と声を掛けた。

「お2人とも今日は来て下さってありがとうございました。叔父上とお父上によろしくお伝え下さい!」

「はい、こちらこそお世話になりました」

「『オオキタ』の坊ちゃんも、ありがとうございました」

「席を替えて頂いてありがとうございました」

その人は映画の配給会社の偉い人だったらしくて、僕たち相手に丁寧な口調で話をする彼を見てマネージャーは青くなった。荷物の整理をしていた手を止めて、混んでいる一般客用エレベーターではなくスタッフ用のエレベーターに案内してくれた。急に愛想良くなって「ありがとうございました!」と深々と頭を下げて見送るマネージャーの後頭部を見ながら溜飲を下げた僕だった。


「あはははっ!マネージャーさん、あんなに威張ってたのにさ!」

「飛鳥が『オオキタ』の社長の息子だと聞いて慌ててたな」

「うん!『コンサートのチケット送ります』なんてさ。僕にはなんの力もないんだけどね。肇ちゃんも顔を知られてるんだね」

「時々伯父と一緒にパーティーに出たりするから、こうして声を掛けられる事もあるんだ」

「ふうん。会社関係のパーティーに出たりするんだね」

みんなもこうして親の会社関係のパーティーに出たりしてるんだな。

「ああ、俺は関係ないけど、伯父の跡継ぎには誰がなるかわからないからな」

「・・・?」

「関係ない」とか「伯父さんの跡継ぎ」とか・・・ちょっとわからない。後でたっちゃんに聞こう。

「わからなくてもいいんだよ」

「そう?本当にチケット送ってくるかな?」

「あのマネージャーには俺もちょっとカチンと来たしな。それくらい良いんじゃないか?」

本当にコンサートのチケットが送って来たら一緒に行こうと約束して、吉山さんが迎えに来るのを待つ間に肇ちゃんが真面目な顔で言った。

「飛鳥、マジで俺と付き合わない?」

肇ちゃんは、真面目に言ってる・・・。

「・・・たっちゃんに似てるから、ヤダ」


肇ちゃんはスッと視線を逸らして「あっ、迎えが来たぞ」と車を指差した。


「あ、うん」

「じゃあ、またな」

「さようなら」


 真面目に「付き合おう」と言ってくれてたんだとわかって嬉しかった反面、肇ちゃんには申し訳ないと思った。

それは中等部1年の時に声を掛けてきた上級生を次々に受け入れてしまった事を、星望のみんなが知ってて僕の事をみんなが軽く見ているとわかっていたからだ。

今はそれ程じゃないけど、当時はいろいろ陰口を叩かれていた。

それを簡単に払拭出来ないのもわかっていた・・・『ペット』は相手に守られる、それは『契約』だから。でも僕は違う、一度貼られた『尻軽』のレッテルは簡単には剥がれないって事を、今頃気が付いても遅いんだ。

僕なんかと付き合ったりしたら、肇ちゃんが悪く言われるんじゃないか・・・僕はそれを心配していた。

肇ちゃんが成績優秀で正門前でもモテモテで、先生たちの評判も良いって事を僕は知ってる。


じゃれて「付き合おう」と絡んでくれる肇ちゃんが一歩下がってしまった感じがして、それはそれで寂しいというか・・・大好きなケーキを食べ損ねたような、複雑な気分だった。


僕は『恋』することに憧れて、『恋』することを怖がっていた。


怖がってばかりでは前に進めない。


わかっていたけど『たっちゃんを忘れられない』という盾を持ち、肇ちゃんを遠ざけた僕は一歩を踏み出す事の難しさを感じた。


*****

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初恋学概論6

 月曜日の朝。いつものコンビニの前で信号待ちするたっちゃんに後ろから声を掛けた。

「おはよう!たっちゃん!」

「飛鳥、おはよう。コンビニでなにを買ったんだ?」

僕が持つコンビニの袋を見てたっちゃんが聞いた。

「ハーブティー」

「いつもそれだな。なにか食い物だったら分けてもらおうと思ったのに」


明日はサンドウィッチか菓子パンを一緒に買おう。

今日は肇ちゃんが言ったとおり、レジでお金を払ってから雑誌コーナーでたっちゃんを待った。上手い具合に追い付いて、一緒に信号を渡る。

隣を歩くたっちゃんが、奏ちゃんの事しか見てなくても今は僕が隣なんだ。妙な優越感・・・奏ちゃんが転校して良かった。


もしかしたら、どこかで肇ちゃんが見てるかもしれない。


「あのさ・・・肇ちゃんって伯父さんの跡継ぎになるの?」

「ああ?なんだ、それ・・・まだ、決まってないよ。それに、肇ちゃんは母方のじいさんの跡を継いで政治家になるって聞いたぞ」

「ふうん・・・政治家?」

「ほら、衆議院議員の八木紀代彦」

「知らない」

「地方の選出だからな」

「政治家の名前なんか大臣とか、テレビに良く出る人じゃないと知らないよ」

みんな同じに見えるし・・・。

「お前は現職大臣の名前も知らないだろう?まあ、そんなもんだろうな普通の中学生は」

普通の中学生じゃないらしいたっちゃんが言うと、なんとなく納得してしまう。

「失礼だな!僕だって、知ってる」

「じゃあ、今の厚生労働大臣は誰だよ」

「・・・北原さん?」

適当に記憶にあるイケメン代議士さんの名前を言ってみる。

「それは与党の幹事長だよ」

「スミマセン」

こんなふうに雑談と言うかどうでもいい話をしながら、《煩悩の108階段》を上るのが楽しいんだよなあ。

「ねえ、どうしてここ、108段以上、あるのに、『108』なん、だよ」

息切れがする。入学以来ずっと不思議に思っていた事を、博識のたっちゃんに聞いてみる。

「飛鳥、今日から部活はコートに入らなくてもいいから走り込め。これくらいで息切れして、情けない」

「大ちゃんも、寺田くんに手を引いてもらうよ?ねえってば、どうして、108なの?」

「ああ、もう」

たっちゃんの手が伸びてきた。

「ほら!」

「うん!」

たっちゃんの手・・・繋いだその手にドキドキしてるのか、階段を登っているからドキドキしているのかわからなくなる。大ちゃんの事を引き合いに出したから、僕が手を引いてくれと催促したのだと勘違いしたらしい。

やった!

いつも羨ましいと思って見てたんだ・・・大ちゃんと寺田くん。

「たっちゃんたちの、伯父さんって、子どもが、いないの?」

「比呂人伯父さんの事か?いないけど・・・って言うか、たとえいたとしても『円井グループ』の総帥は一族の中で一番優秀で人望のある者が選ばれるんだ」

イマイチわからない。

「じゃあ、誰が継ぐの?」

「俺」

「あっそ」

自信満々なたっちゃん。さっきは『決まってない』って言ったクセに。

「昨日、肇ちゃんと一緒に映画を観に行ったんだろう?」

「うん・・・どうして知ってるの?」

「秘密」

「もう!」

肇ちゃんが話したのかな?

「昨日は伯父さんと一緒に歌舞伎を観る予定だったんだけど、肇ちゃんが来なかったからさ」


えっ・・・肇ちゃんは予定があったのに、僕の為に予定を替えたって事?


「肇ちゃんの代わりに慎一が来たんだ」

慎一くんもたっちゃんの従兄弟だ。だいたい全部で何人従兄弟がいるんだよ・・・井上さんち、親戚多すぎ。階段を一番上まで登りきった所でたっちゃんが真顔で言った。

「肇ちゃんは、本気なんじゃないのか?」

「・・・昨日も、付き合って、って・・・言われた」

「ちょっと、来い」

たっちゃんは僕の手首を掴んで音楽室とか美術室がある専門棟に向かった。授業が始まる前だから専門棟に人気はない。音楽室に行きポケットから鍵を取り出すと、たっちゃんは周囲を窺いながら鍵を開ける。

「どうして・・・」

どうして、先生か用務員さんの鍵爺しか持っていないはずの音楽室の鍵を持ってるんだよ?

「しっ!黙れ」

「ごめん」

誰もいないか確認すると、素早く僕を中に押し込み中から鍵を掛けた。

「蒸し暑いな・・・窓を開けられないから仕方ないか」

誰かが忘れた教科書を手に取って、パタパタと扇ぐたっちゃん。

「どうしてここの鍵を持ってるんだよ?」

「内緒。誰にも言うなよ?信頼してるヤツだからここに連れて来たんだからな」

嬉しかった・・・『信頼してるヤツ』だって。

「あのさ。肇ちゃんはお人好しだけど優しいし、俺としては従兄弟としても男としてもお勧め」


ここ専門棟は昼休みにはカップルが集う場所。ここでヤってる人もいる。

ちょっとは期待したのに、話はすぐに本題へ・・・。


「うん・・・冗談だと・・・思ってて、その」

「断ったのか?」

「うん」

「ふうん・・・お前の事だから『たっちゃんに似てるからヤダ』なんて言ったろ?」


ご明察・・・たっちゃんが睨んでる。

別れ際の切なそうな肇ちゃんの表情が目に浮ぶ。あんな顔させたのは、僕だ。


「・・・うん。どうしてわかるの?」

「データだよ。こういうのってさ、流れに乗ってみるのも良いんじゃないか?俺が飛鳥と付き合う事はないから、肇ちゃんが本気で言ってるんだったら付き合ってみろよ」


『俺が飛鳥と付き合う事はないから』なんて・・・何度も失恋させんな。


「でも・・・」

「いろいろ事情がわかってくれてる人と一緒にいるのは楽だろう?」

そりゃ、そうだ。

「・・・」

「甘えても良いんじゃないか?」

わかってるけど・・・。

「・・・」

「電話しろよ」

電話して、どうするの?

「・・・」

「だんまりかよ」

なんか、涙出そう・・・。

「・・・」

「飛鳥?」

たっちゃんが、俯いた僕の顔を上げさせた。


「だって・・・僕なんかと付き合ったら、肇ちゃんがバカにされないかなとか・・・」


うっかり零した涙に気付かれて、困った顔のたっちゃんと真剣な顔の肇ちゃんが重なって、僕の胸は張り裂けそうになる。


いつの間にか、たっちゃんと肇ちゃんは同じくらいの比重に変化していた。


*****

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初恋学概論7

「飛鳥?」

「だって・・・」

机に座ったたっちゃんが「泣くなよ」とハンカチを握らせた。

「肇ちゃんの事が好きなんだろう?」

こんな事くらいで泣き出したりして、恥ずかしくて僕はたっちゃんに背を向けた。

「わかんない・・・たっちゃんの事が好きだけど・・・肇ちゃんの事も、好き」

「そうやって、ちょっとずつ俺への比率が小さくなって他のヤツが大きくなるんだよ。9:1が7:3になって5:5になる。そして、そのうち俺が消える」

「消える?」

0になるって事?

「そう・・・あんな事もあったなあって、俺は綺麗な想い出になる」

「なんか・・・年寄り臭いよ、たっちゃん。痛っ!」

たっちゃんの手元に武器があることを忘れてた。教科書が僕の頭にヒットした。

「バーカ!まあ、いいや・・・で、今は5:5くらい?」

「うん・・・多分」

「じゃあ、3:7目指して頑張れ」

「はい」


3対7のお湯割りみたいな比率になるにはどうしたらいいんだろう。

たっちゃんは僕がして欲しい事を察してくれる事が多い。だから余計に彼から心が離れないのかもしれない。たっちゃんが言ってる事はわかる・・・自分でも自覚してる。

優しい肇ちゃんといると肇ちゃんの事が好きになる・・・じゃあ、ミッチーといたらどうなんだろう?違う人が優しくしてくれたら、その人の事を好きになるのかな?

そこのところがわからない・・・たっちゃんとなにもかも比べてしまう。


「行くぞ」

音楽室のドアを少しだけ開けて、外に人がいないか確認したたっちゃんが「不味いなあ」と言った。もしかして鍵爺が見回りに来たとか?

「誰かいるの、たっちゃん」

「肇ちゃんがいる」

「えっ?」

「俺たちがここにいる事に気付いてるよ・・・出よう」

「うん」

疚しい事はなにもないんだから、堂々としてれば良いんだ。廊下に出ると専門棟の非常口のドアの前に肇ちゃんの姿が見えた。腕組みして、機嫌悪そうにこっちを見ている・・・珍しい、肇ちゃんのあんな顔。

「肇ちゃん、おはよう」

たっちゃんが何事もなかったような感じで挨拶した。

「辰弥、飛鳥、おはよう」

肇ちゃんはジッと僕の顔を見た。ゆっくりと視線をたっちゃんに移して「なにしてた?」と聞いた。

「飛鳥が教科書忘れてたから取りに来たんだよ。じゃあ、俺は授業に行くよ」

持っていた誰かの教科書を僕に渡して立ち去ろうとするたっちゃんを、肇ちゃんが不機嫌さ100%の低い声で呼び止めた。

「辰弥」

「なに?」

「飛鳥の事、弄ぶな」

僕が握っていたハンカチを見て、肇ちゃんは僕がたっちゃんに『泣かされた』と思ったのかな?

「弄んでません。飛鳥とはナイショの話をしていただけだから」

自分から教科書は『嘘』だって白状しちゃったよ。どうしたんだろう、たっちゃん。

「ナイショの話?」

肇ちゃんの険悪な雰囲気をなんとかしたくて口を挟む。

「肇ちゃん、あのさ」

たっちゃんは擦れ違い様に音楽室の鍵を肇ちゃんに渡して、中等部の校舎の方へ歩いて行く。

「辰弥、待て」

「2人で話してくれる?俺は関係ないから、じゃ!」

呼び止めた肇ちゃんを無視してそのまま専門棟から出て行ってしまった、たっちゃん・・・いいのかな?

「あの、肇ちゃん・・・」

「飛鳥は辰弥の事が好きなんだろう。わかってるから・・・良かったな、音楽室に2人で・・・」

そんなにキズ付いた顔で言わないでよ。音楽室の鍵を見てチャラッと音を立ててポケットの中に仕舞った肇ちゃんも、僕を置いて出て行こうとする。

「ま、待って!肇ちゃん」

「俺も授業に出ないと」

「まだ、あと20分もある。ちょっと話してもいいかな?」

「・・・ああ」

肇ちゃんは戸惑っていた。そりゃそうだよね・・・日曜日に僕は彼をフッたばかりだ。

ここで話しても良いかな?

授業まで時間があるから、生徒は誰も来ないと思うけど・・・。

「僕・・・その」

「気にするなよ?俺は別に」

「気にしてない?」

「・・・ああ」

気にしてないのに、どうしてここに?僕たちを追って来たみたいじゃないか?

「じゃあ、どうしてここに来たの?」

「・・・教科書、忘れたから」

「嘘」

絶対に嘘だ。さっきたっちゃんが渡した教科書は中等部のだし、高3で音楽は習わない。

「・・・嘘だよ・・・ごめん」

「ふふっ・・・僕たちも嘘だから!」

肇ちゃんは目を合わせようとしない。

「2人の後ろから階段を登ってたんだ。途中から手を繋ぐし・・・辰弥と2人でどこに行くのか気になって、付いてきた・・・ごめん」

やっぱり、肇ちゃんは僕たちを見ていたんだ。

「あの・・・嬉しいかも、それ」

「嬉しい?」

やっと視線を合わせてくれた。

「うん、だって・・・僕の事が心配でここまで来てくれたんでしょう?」

「・・・ああ、まあ。その、なんだ・・・辰弥に音楽室の鍵を返してもらおうと思ってさ」

「どうして音楽室の鍵なんか持ってるの?」

「ナイショ」

「たっちゃんと同じ事を言うんだ」

「まあな」

「中で話さない?」

「ああ、いいよ」

バツが悪そうに視線を外しながら、再び音楽室の鍵を開ける3歳年上の彼が可愛く思えた。


鍵の秘密はさておき、僕は肇ちゃんが真面目に僕に「付き合って欲しい」と言ってるんだと再確認して嬉しかった。5:5はあっという間に4:6になって・・・きっとすぐに目指すところの3:7を越える。


もしかしたら、たっちゃんは後ろから肇ちゃんが来ていた事を知っていたのかもしれない。


*****

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★ここからオマケ!!どうでもいい感じです(笑)★

大貴「おはよう!井上!」

辰弥「おはよう、大貴。今日も可愛いね」(頬っぺたぷにぷに~柔らか~い)

大貴「うん、それはわかってる。もっと言え。井上、音楽室からご登校か?」(ぷにぷにすんな!彰彦が見てる)

辰弥「ははっ、まあね」(しっかり、見てやがる)

大貴「誰?」(白状しろ!)

辰弥「はあ?」(言う訳ないし)

大貴「誰だよ?お相手は?」(しらを切るのか!言え!)

辰弥「さあね」

大貴「言えよ!」

辰弥「言わない」

彰彦「大貴、しつこいぞ」(大貴の頬っぺたをぷにぷにすんなっ!)

大貴「いいじゃん!教えてよ!音楽室でなにしてたんだよ!」

辰弥「・・・気持ち良い事に決まってんじゃん!」

大貴「・・・イイコト・・・気持ちイイコト・・・」

彰彦「からかうな!」(変な事言うんじゃない!)


朝から飛鳥くんの為に働いた辰弥は清々しい思いであった。END
(まだまだ大貴と彰彦も片想い同士です)

初恋学概論8

 失敗とは転ぶ事ではない。そのまましゃがみ込んだままでいる事である。 メアリー・ピックフォード



 本来ならこの時間、専門棟に生徒はやって来ない。ここに来るのは美術部やメダカを飼ってる生物部とかの一部の生徒で、授業の前に先生から鍵を借りてやって来る。

音楽室の中に入った方が人目を避け易いから、肇ちゃんは僕を連れて再び音楽室へ。

そして真剣な眼差しで僕の前に立った。

「肇ちゃん、僕は」

「待て!もう、いいから」

肇ちゃんは僕の話が「朝からたっちゃんと2人っきりで音楽室にいた事」の言い訳だと思ったみたい。

「良くない!聞いて欲しいんだけど・・・ねっ?」

「・・・うん」

「うん」は渋々だった。

「僕は小学生の時、たっちゃんと同じピアノ教室に通ってたんだ」

「知ってる『赤バイエルのあーちゃん』だろ?」

「・・・うん」

どうして知ってるんだろう?肇ちゃんに言ったっけ?たっちゃんが教えたのかな?

「辰弥のピアノの発表会で飛鳥を見掛けた。女の子みたいに可愛くて・・・舞台の袖で『出たくない』って泣いてた飛鳥を覚えてるよ」

「ええっ!?」

肇ちゃんは客席から僕を見ていたって事?

舞台袖で緞帳に捉まって「出たくない」と泣いた。みんなお父さんやお母さんが来てカメラを抱えて録画したり写真を撮るのに、僕だけ付き添いは家政婦さんで・・・練習したって、誰も褒めてくれない。
発表会だって僕より小さい子が僕より難しい曲を弾いてるんだ。大好きなたっちゃんの前で恥を掻く事になる。もちろんK学院の友だちもいて、ヘタクソな演奏を聴かれるのがイヤで、「舞台に出たくない」と先生たちを困らせたっけ。

「半泣きで出てきて、何度も間違えながらピアノを弾いただろう?」

「うん・・・覚えてる」

「俺は可愛いなあと思いながら見てたんだぞ、飛鳥の事を」

「・・・そうなんだ」

「飛鳥はその頃から辰弥の事が好きだったんだろう?俺もあの時初めて飛鳥を見て、飛鳥に一目惚れ」

「・・・嘘」

「この期に及んで嘘吐いてどうするんだよ。中等部に飛鳥がいると気が付いたのはほら、辰弥と慎一と3人で学食にいた時に飛鳥が弁当箱を抱えて来ただろう?あの時だ」

あの時・・・そうだ、あの頃僕は二段の重箱がお花見弁当みたいで恥ずかしいから、いつも1人で学食の隅でお弁当を食べて、残りは全部捨てて帰ってたんだ。

あの日はたまたま学食でたっちゃんを見つけて肇ちゃんと慎一くんを紹介してもらった。

「アドレス交換しただろう?」

「うん・・・覚えてる」

そうだ、あれ以来僕が大きな弁当箱を抱えていると肇ちゃんは「飛鳥、来いよ」って自分のテーブルに誘ってくれて、弁当を減らしてくれて・・・。

「俺はいつも飛鳥を見ていたんだぞ。テニス部で豪快に空振りして辰弥にスパルタ指導されてる飛鳥を見て、俺がいるサッカー部に入ればよかったのにって・・・嫉妬してたんだ」

「ごめん・・・知らなかった」

「謝るなよ・・・俺の初恋だったんだ」

肇ちゃんは真剣な表情で一歩踏み出して、僕を抱き締めた。

「辰弥なんか忘れろよ」

『忘れる』・・・というよりも5:5はもう4:6なのかもしれない。僕はそこのところの境目がわからないでいた。

「たっちゃんが」

「辰弥の話は、いい」

「たっちゃんはもう『想い出』なのかもしれない」

「『想い出』?」

「うん、『初恋の想い出』。僕はたっちゃんが星望だから、中等部からここを受験したんだ。でもたっちゃんには他に好きな人がいて、僕なんか見てない。たっちゃんから『上級生が声を掛けてくるから気に入ったら付き合ってみろ』って言われて・・・考えなしにそのとおりにしたんだ、だから」

「だから?」

「その・・・肇ちゃんも知ってるでしょう?僕なんか相手にしたら、肇ちゃんが・・・悪く言われないかな?」

「言わせないから、大丈夫」

やっぱり、従兄弟同士気が強いところは似るのかな?

「僕が『尻軽』って言われてるの知ってる?僕が原因で肇ちゃんの事を悪く言われるのはヤダ」

「言わせない」

ギュッと抱き締めてくれる肇ちゃんの身体が熱くて、愛しかった。

「肇ちゃん」

「辰弥の事は学年も同じだし、急に『忘れる』なんて無理だろう?それでいいから、少しずつ俺の事好きになって・・・それに2年前の事をいつまでも気にしてちゃ、次に進めないだろう?若気の至りってヤツだ、なっ?」

自分から肇ちゃんの背中に手を回してみた。大きくて、香りもたっちゃんとは違う。5:5はもうすぐ3:7になるんだと思う。

「うん」

「無理に工学部に行く必要もないだろう?俺がいるだろう?」

「うん」

「これからは、コンビニで俺を待ってて。お前の手は俺が引く」

「うん」

「最初から100%でなくてもいいから、ちょっとずつでいいから・・・俺のものになって」

「・・・」

返事して良いのかな?

「うん」って、言っても良いのかな?

「返事は?」

「はい」

「ありがとう、好きだよ飛鳥」


僕の身体に巻き付く肇ちゃんの逞しい腕が、キュウっと強くなって心地良かった。

多分、まだたっちゃんの事を引き摺ってる。

「初恋の人は忘れられない」って言うけど、それは本当だと思う。時々彼の事を思い出して、時々肇ちゃんにヤキモチ妬いてもらって、ちょっとずつ「肇ちゃんが100%」に近付けばいいんだ。


2年前の過ちを忘れずに、僕は次のステップを踏み出す。

どう足掻いても僕の初恋は実らなかったけど、前へ進むバネにはなる。


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初恋学概論9

 その日は1日雲の上を歩いているような気分だった。

ふわふわ、ほわほわ・・・なんだか地に足がついていない感じ。


 授業開始5分前の鐘が鳴り、慌てて音楽室を後にした。

名残惜しくて・・・離れ難くて・・・肇ちゃんとは「一緒に帰ろう」と約束して、中等部と高等部の校舎の境目で別れた後、僕はずっとふわふわ浮いてる感じ。

2時間目が終わり20分休みの時に机に伏せていると、平井大貴くんが後ろから椅子ごと抱き付いた。

「飛鳥、どうしたんだよ?」

「大ちゃん」

「ジュース買いに行こうよ」

「うん」

並んで廊下を歩きながら、大ちゃんが心配そうに顔を覗き込む。

「朝からボケッとしてるぞ」

「うん」

自動販売機の前で「暑いからコーラ」と言いながら、僕の分も一緒に買ってくれた。

「はい」

「ありがとう」

小銭を渡すけど受け取らない。

「奢る」

「ありがとう」

大ちゃんは毛先がクルッとカールした髪を煩そうにかき上げて、僕の目をジッと見つめた。

「なに?」

「可愛い飛鳥くんは、心ここに在らずって感じだ」

「うん・・・まあ」

「言えよ」

大ちゃんはこんな時、白状するまで引き下がらない。言い出したら聞かないっていうか・・・寺田くんは「可愛い我儘姫」と言うけど、たっちゃんは「はた迷惑な我儘姫」と言う。近くのベンチに座った大ちゃんは「ここ」と自分の隣をバンバン叩いて「座れよ」って笑う。

なんか、適わないなあ・・・ホント、我儘姫だ。

「なんかあった?」

ペットボトルの蓋をプシュッと音を立てて開けた大ちゃんは、美味そうにコーラを飲んだ。

「うん・・・まあ」

「朝礼も遅れてくるし」

話さなきゃ、終わらない感じ。

「実は・・・高等部3年の井上肇さんに付き合って、って言われて・・・」

「ええっ!」

大ちゃんの声は辺りに響き渡った。周囲の生徒の視線が僕たちに集中する。慌てた大ちゃんの手からペットボトルが飛び、辺りにはコーラの飛沫が飛んだ。大ちゃんの口を押さえて、「しーっ!」と制止する。

「そんなに大きな声を出さないでよ!」

大ちゃんはペットボトルを拾って「あ~ビックリした」と胸を押える。僕の方がビックリだよ。

「ごめん!ビックリして・・・高等部の井上肇さんって、井上の従兄弟だよな?」

今度は声を潜めてくれた。

「うん」

「飛鳥は井上の事が好きだったんだろう?」

大ちゃんは僕の手にあるコーラを取って、蓋を開けた。「はい」と再び僕に握らせると「まあ、落ち着け」と言った。

大ちゃん、落ち着くのは君の方だ。

「わかってた?」

「うん、井上って自分の事はあまり話さないんだよね。でも飛鳥の家に遊びに行ったりしてるし、仲が良いから俺は飛鳥の事が好きなのかと思ってた」

愛想も良いし、話題も豊富で常にクラスのリーダー的存在の彼は下級生から告白される事もあった。放課後にはもちろん正門に彼のファンクラブ会員が並ぶ。女の子に告白されてる姿を見る事もある。

「俺は井上の本命は飛鳥だと思ってたぞ」

「そんなふうに見えてたんだ」

ここで『倉和奏』の名前を出してはいけないと思って、黙っている事にした。

「うん」

「へえ・・・そうか」

そう聞くと、それはそれで嬉しかったりする・・・人間は複雑だ。肇ちゃんと付き合おうと決めたけど、やっぱりたっちゃんは僕の中で根強い。

「肇さんと井上は顔が似てるよな?」

「うん、だから『イヤだ』って言ったんだけど・・・」

僕がそう言うと、大ちゃんは呆れたような顔で口をポカンと開けた。

「飛鳥、可愛い顔して酷い事言うなあ」

「たっちゃんにはずいぶん前にフラれたんだ。でもまだ引き摺ってて、肇ちゃんは『それでもいい』って・・・『そのうち自分の事が一番になってくれれば良い』って、言ってくれた」

「ふうん、良かったじゃん!俺は心配してたんだ。ほら、飛鳥がしょっちゅう相手変えてた時あったじゃん?俺、心配でさ・・・井上に相談したんだ」

「ごめん」

やっぱり・・・大ちゃんが気付いて、たっちゃんに相談してたんだ。

「俺さ・・・飛鳥の気持ち、わかる。ダメだとわかってても簡単に忘れたり、諦めたり、出来ないんだよね・・・初恋ってやつ?」

「うん・・・たっちゃんは『今は5:5でもそのうち3:7になる』って、いつか『自分は綺麗な想い出になる』って言うんだけど・・・」

「『綺麗な想い出』か・・・そうなれば良いけど」

大ちゃんは俯いて、コーラで出来た茶色いシミを見つめていた・・・思い詰めたような表情。

「大ちゃんも、悩んでるの?」

「いや、俺はいいから!」


気になって聞くと慌てた様子で話を僕の方に戻そうとする・・・大ちゃんが好きなのは寺田くんじゃないかと思うんだけど。そして寺田くんも大ちゃんの事が好きなんだと思う。

『幼馴染』と言う関係が、彼らを『恋愛』には導かない。


「俺の事は良いから!飛鳥、それでOKしたのか?」

「うん・・・まあ・・・その、たっちゃんといたら、たっちゃんが良いなあって思うし、肇ちゃんといれば肇ちゃんが好きだし・・・『わからない』って正直に言ったんだ。そしたら『それでも良いから』って、『俺のものになって』って」

大ちゃんの顔が固まる。しばらくすると笑顔になって、なぜか彼は頬を染めた。

「俺、なんだか胸がキュンキュンしちゃった!」

「そう?」

「感動した!」

「そう?」

「うん!飛鳥、おめでとう!」

大きな声で言うから周囲の生徒たちは何事かと僕たちを見る・・・大きな声は止めて大ちゃん。

「なにが、めでたいんだよ」


たっちゃんだ。たっちゃんは自販機でサイダーを買い、僕と大ちゃんの真ん中に強引に座った。


「井上の所為で飛鳥がおめでたい事になった」

「はあ?俺の所為?・・・ああ、確かに!それは心辺りがあるなあ。良かったなあ、飛鳥」

「・・・あ、ありがと」

大ちゃんは大きな瞳をキラキラさせて、「俺は良いと思うぞ!」と笑う。たっちゃんはその笑顔を見て「大貴が言うなら間違いないな!」と大ちゃんの頬を摘んだ。

「良かったなあ」と言われて、嬉しい僕とたっちゃんとは「もう終わったんだ」と残念な気持ちになる僕がいて・・・複雑だ。肇ちゃんに「付き合って」と言われて「うん」と返事したけれど、こうして時々心がズキズキするような気持ちは噴き上がるんだと思う。


そんなズキズキが少しずつなくなって、気持ちの整理が出来るんだろうな。


*****

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初恋学概論10

 店内に軽い電子音を響かせてドアを開けた肇ちゃんが、雑誌コーナーの前にいる僕を見つけて声を掛ける。

「飛鳥」

「肇ちゃん」

「部活は良いのか?」

「うん。肇ちゃんは?」

「俺たちは予選落ちしたから、もう引退したんだ」

「ふうん」

約束した時間にコンビニに現れた肇ちゃんは、駐車場に停車した僕の車を見てちょっとガッカリした顔。「一緒に帰ろう」と約束したけれど、コンビニにはいつものように吉山さんが運転する車が迎えに来ていた。

「もしかして飛鳥って、電車にもバスにも乗った事ないとか?」

「ある。小学生の頃、課外活動で学校から美術館に行った事がある。ちゃんと電車で行ったよ」と威張って言うと、「ホントにお坊ちゃまだな、お前」と呆れられた。

「だって・・・学校もバスとか電車で行きたいって言っても、ダメだって言われるんだ」

それに僕の通学方法を変える事で吉山さんの仕事を奪うわけにはいかない。

「デートも運転手付きかあ」

「ごめん・・・お父さんが、誘拐されたら大変だって言うんだ」

たいした愛情を感じたこともない父だけど、身代金を払いたくないんだと思う。肇ちゃんは「過保護」と笑い、コンビニのロールケーキを買ってくれた。

「これ、安くて美味いんだぞ。食べた事あるか?」

それがちょっと悔しくて「ある!」と剥きになって答えてしまう。これでも甘い物好きの大ちゃんにいろいろ教えてもらって、ちゃんと知ってるんだぞ。

買い食い王子の大ちゃんは駅周辺の美味しいスイーツを知り尽くしている。


コンビニの袋を渡す肇ちゃんの指が、僕の手に触れた。


ドキッと弾む胸。


「・・・そうだ、うちに来る?」

肇ちゃんと離れ難くて、つい誘ってしまった・・・これって、前に上級生を家に連れて行ってた事を思い出すかな?

案の定、肇ちゃんの返事はキレが悪かった。

「そう、だな・・・」

「ねっ?帰りは車で送るし」

「・・・うん、じゃあ」

渋々って感じでもない。


一緒に後部座席に乗り込んで、吉山さんの目が届かない所で手を繋いだ。手が触れ合うとドキドキする・・・僕たちはもっと話をして、お互いをもっと知る必要があると思う。


 玄関では小型犬の大合唱がお出迎え。キャンキャン吠える小型犬の甲高い鳴き声に、肇ちゃんは驚いていた。姿は見えないけど、複数の犬がいる事は明白だ。

「煩いでしょう?」

「何匹いるんだ?」

「多分、7匹」

「多分、か」

「うん・・・お母さんが買ってきたり、もらってきたりして増えるんだ」

トイプードルとかお馴染みの犬種ならわかるけど、どこのなんという犬なのかもわからないような珍しい犬もいるらしい。母は自分では一切世話をしないから、鎌浦さんの散歩の時間が長くなる。

犬の名前は僕と鎌浦さんが適当に付けているけど、どうでも良い。専属のトリマーさんが週1度やって来て、全部持っていく時だけが彼らが静かになる時間だ。

肇ちゃんは玄関ホールにデンと置かれた年代物のフェラーリを見て「うわっ」と声を上げた。興味があるのか車の前の立て札を読んでいた。

「まるでショールームだな」

「うん・・・パーティーも家でやるから。向こうのガレージにはもっとたくさんあるよ」

鎌浦さんは、「お友だちが来て下さって良かったですねえ、飛鳥さん!」と喜んで、「お夕飯を召し上がって下さいね」と、いそいそと食事の準備を始めた。


 僕の部屋のリビングルームのソファーに座っている肇ちゃんを見ていると、やっぱりたっちゃんの事を思い出す。ここでキスした事とか、いろんな事を思い出して僕は切なくなる。

「どうした?」

「うん・・・肇ちゃんは、その、知ってるって言ったよね。僕が上級生を家に連れて来てた事」

「ああ」

「・・・イヤじゃない?」

「そうだな。『なんとも思いません』なんて事はないな。言っただろう?俺は前から飛鳥の事が好きだったって」

「うん」

「それに辰弥が上級生に誘われたら『OKしてみろ』って言ったんだろう?・・・なんか腹立つなあ」

「ごめんなさい」

「飛鳥には怒ってないよ。辰弥だよ」


なんか嬉しい。


肇ちゃんが僕を「可愛い」と思ってくれた時期と、僕がたっちゃんの事を「カッコ良い」と思った時期はほぼ同じ時期で・・・お互いに永い時間、違う人に片想いをしていたんだ。

肇ちゃんは星望で僕と再会して、僕が自分の従兄弟のたっちゃんの事が好きだと気が付いて・・・辛かったかな?

僕はたっちゃんと同じ学校に通えるとワクワクして入学したのに、彼は倉和奏に夢中だった。それが辛くて・・・倉和奏の噂話は一つも逃さないように聞いた。倉和奏がBIZAN堂の1人息子と付き合っていると聞いて腹が立つと言うか、なんというか・・・そんな人じゃなくて僕を見て欲しかった。

「キス、しても良い?」

肇ちゃんの手が頬に触れた。

「えっ・・・うん」

肇ちゃんの事がたくさん好きになりますように・・・僕の事だけを想ってくれる肇ちゃん。

「ゆっくりで良いから・・・俺だけを好きになって」

「うん」

軽く触れただけのキスは物足らなくて・・・僕はきっとその先の事まで期待してる。だけど肇ちゃんの唇はそっと離れていく。

「あの・・・」

「なに?」

「その・・・」

「なんだよ」

「高校生だから、もっと先の事もするのかと思った」

「ははっ・・・飛鳥が、俺だけが大好きって言うまで、しません」

「・・・うん」

残念なような・・・期待していた僕は、カアッと顔が赤くなる。でも、これって・・・大事にされてるって事、だよね。

「飛鳥に触れたいけど、我慢するよ」

「うん・・・キス、もう一回」

僕の身体をギュッと抱き締めた肇ちゃんが、凄く大きく、逞しく感じた一瞬だった。

*****

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