★後半部分、18歳以下閲覧禁止です。年齢に達しない方、表現がお嫌いな方は回避願います♪
部屋に行くと、喜春は床にちょこんと座って俺を待っていた。
「悪かったな。気を遣わせて」
喜春が楽しみにしていた花見が中途半端に終わってしまった。コンビニに寄って買って来たビールとつまみのチーズをテーブルに置くと、喜春はビールを手に取った。
「別に、気を遣ったわけじゃないよ。寒かったから」
「2、3日したら満開になるから、また花見しよう」
「うん。楽しみにしてる」
プシュッという音が響き、喜春は喉を反らしてビールを飲む。グビッグビッと、ビールのコマーシャルのような音を立てながらビールを喉に流し込む喜春の喉元。喉仏を上下させながら飲む姿は、顔に似合わず豪快だ。
複雑な気分だ。確かに喜春は男なんだが、どうして喜春に惹かれたのだろうか。そんな事を考えていると、彼の白い身体を思い出し俺の下肢は疼き始める。
隣に座ると、喜春の手が俺の膝に乗った。
「結太くん、可愛いね」
俺の結太を『可愛い』と思うのは、子犬を見て『可愛い』と思うのと同じだった。確かに触れてみたくなった一瞬もあったが、今思い起こしてみれば、それは喜春と出会ってからだ。抗えない発芽が、結太へと手を伸ばさせた。不用意に触れてはいけない者に触れてしまったのだ、俺は。
「ヤキモチか?」
「ヤキモチ・・・じゃないな。結太くんはまだ、文生の事が好きでしょ?」
「さあ、どうだろ」
「わかる。わかるけど、あげない」
挑戦的な瞳の喜春が、俺の腕にしがみ付いた。
「ははっ。今更、『結太にあげる』と言われても、俺は困るけどな」
そう言うと、喜春は嬉しそうに笑った。コンビニの袋からビールを取り出すと俺に渡す。
「ありがとう。結太、《トリスタン》を辞めるそうだよ」
「ふうん」
驚いたふうでもない。
「喜春は知ってたのか?」
「直接聞いたわけじゃないけど、『噂』レベルだね」
「そうか」
忙しさに紛れて、スタッフとの会話が少なかったな。《イゾルデ》や《トリスタン》に顔を出す事もなく、《325》の事で満杯だった。
彼らとの会話の中に、ヒントがあったりする。例えば何が流行っていると聞けば、それが新メニューのヒントになったり、人気店のメニューの感想を聞いたり。気になる店があれば自分でも立ち寄ってみるしね。彼らが他所の店で経験した事が、接客に生かされる事もある。
会話が少ないと彼らの壁も高いままで、本音が聞けない。そういう部分を輝也たちに任せてしまっていたな。
「スーツ着て、就活中だってさ。『飲食業に興味があったわけじゃない』って言われた。俺だって、最初から興味があったわけじゃない。偶然拾われたのが『S-five』だっただけで」
残念な気持ちでもある。俺は、3年間結太を見てきたわけだ。うちに入社してくれれば、即戦力として活躍してくれたと思う。
「ふうん。今まで文生と話す機会もなかっただろうしね。話せて良かったじゃない?」
「ああ。でも、次のバイトも決まってると聞くと、ちょっとな」
喜春は不思議そうな顔をして俺を見た。
「大学の売店で働くそうだ」
「だから、なに?お金持ちのお坊ちゃんでもない限り、学生はバイトしないと生活費が足りない人が多いんだよ。次のバイトも決まってるんだったら、心配ないし」
「うーん、相談して欲しかった、かな?」
そう言うと、喜春は呆れたような顔をした。
「バカじゃないの?文生に相談するわけないでしょ?」
「いや、俺でなくても三木店長とか」
「今更良い人ぶってもダメ。結太くんは自分で考えて行動してるんだろ?だったら、良いでしょ?」
確かに。俺の自己満足を満たすだけだな。結太に良い人ぶってみても始まらないか。
「そうだな」
就活に行き詰っても、結太は相談などしないだろう。出遅れたとはいえ、まだまだ時間はある。大企業はすでに内々定を出している所もあると聞くが、今年は売り手市場だと報道されていたから、これからでも十分チャンスはあるだろう。
「ちょっと、羨ましいかも」
「どうして?」
「だって、今から自分の好きな仕事を見つけるんでしょう?俺は高校出て専門学校に行って、すぐに就職決まって、なんて言うのかな・・・決まった道だけ歩いてきた感じ。スーツ着て、会社訪問して、そういうの、ちょっとやってみたかった気もする」
「結構、大変そうだぞ」
「そうだね」
だから『S-five』に飛び込んできたのか。芝原と山西先生に縛られた生活の中で閉塞感を感じて、違う世界にやって来た。
「それに、本当に好きな事を仕事にしている人間が、この世の中に何人いるって言うんだよ。皆、どこかで折り合いを付けて働いてるんだ」
「まあ、そうだけど。文生は?」
「俺は今の仕事が好きだな。接客も好きだし、食べる事も好きだし」
「料理は作らないのに?」
「ははっ。これでも目玉焼きと肉じゃが、カレー、シチューなら作れる」
「基本が同じじゃないか?」
「まあな」
「あははっ、俺が教えてあげようか?」
「いや、喜春が作ってくれればそれでいい」
「うん」
喜春は楽しそうに笑った。立ち上がり、道路側の窓を開けると手招きした。
「なんだ?」
「ここから、ほら!桜が見えるんだよ」
窓から身を乗り出すようにして駅の方を見ると、桜が見える。ビルの間に浮かび上がる、ガラス細工のように儚げで幻想的な光景。
「夜になると、ここから見てるんだ」
「落ちるなよ」
「はーい」
駅前通りはまだ明るくて、星の光も届かないが、星望学園高等部のある方角には月が昇っていた。まん丸ではないが、もうすぐ満たされる青白い月。
その光は、喜春の肌に染みていく。
「喜春。パティシエはもうやりたくないのか?」
「うーん、したい」
「そうか」
「でも、今は文生の傍にいたい」
「そうか」
「追い出す気?」
「まさか。君のキャリアが勿体無いと思ってるだけだ」
「そう?じゃあ、その勿体無い喜春ちゃんのもう一つの才能をお見せしまーす!」
「なんだ?」
喜春はその場にしゃがみ込んで、背後から俺のモノを触った。
「なにやってんだよ」
「すぐに大きく出来まーす!」
「バカ、やめろよ」
「あははっ、いいじゃん」
喜春の手が雄を覆って何度も撫で回す。
「硬くなってるよ?」
「ああ」
当然だろう?君の手が、触れているのだから。
喜春のベッドはシングルだ。男2人で寝るとギシギシと軋む。
「そのうち、壊れるよ、ね?」
「そうだな」
横になった俺の上に乗った喜春が、ゆっくりと腰を落とす。喜春に握られた俺の雄は、真っ直ぐに天を向き猛っていた。先端に触れる後孔の熱さにも漸く慣れた。
大きく息を吐きながら、喜春の後孔は雄を飲み込んでいく。
「あっ・・・まだ、動かないで、よ」
「ああ」
狭い内部を広げるように、自分で腰を揺すりながら馴染ませる。自分のイイトコロに雄を擦り付けては、身体をビクビクと跳ねさせて小刻みに動く。少しずつ雄が飲み込まれていくのが見えるのだが、それがなんともイヤラシイ。
「あっ」
キュッと締め付けてくる内壁。喜春が内部に飼っている生き物は、侵入して来た雄を逃がすまいと絡み付いてくる。
「動かない、でよ?」
「わかってるよ」
喜春は騎乗位が好きだ。時々、腰を突き出すと睨む。その度に、ベッドがギシッと音を立てる。ベッドの軋む音と俺たちの結合の深さは比例していて、腰を激しく振ればベッドは悲鳴を上げる。
俺はそれが嫌いではないが、喜春はそれが嫌いだと言う。
「俺の部屋に引っ越すか?」
「それは、やだ」
「嫌だ」と言われて納得いかない俺は、喜春の腰を掴んで下から大きく突き上げた。
「うあっ・・・やめ」
「どうして?」
「あっ・・・はあっ・・・ずっと、一緒にいても飽きないし、傍にいたい、けど」
「だったら」
「俺だって、独りになって、考えたい時も、ある」
そう言って、喜春は微笑んだ。
赤い唇はさっきまで俺の雄を咥えていた。白い液体を口の端から溢しながら、目を爛々と輝かせた喜春。一昨日は「文生の部屋は広いから、引っ越して来ようかな?」なんて言っていたクセに。
この、気分屋め。
「文生だって、そうでしょ?」
返事の代わりに、俺は腰を動かす。ベッドが壊れようが、知るか。
「もっ、待って、よ。もう少し、あっ、あっ」
喜春は背を反らして胸を突き出した。俺はそこに手を伸ばし、赤く色付いた尖りを摘む。
「ああっ・・・もっと、シて」
痛いくらいにギュッと摘むのも、彼は好きだ。喜春の動きが激しくなり、自分で自分の雄を握って擦り始める。
「あっ、あっ・・・い、いっ」
カーテンが開けっ放しの窓から、月が見える。
喜春の動きに合わせながら、俺は腰を突き上げる。ギシギシと軋むベッドの音と共に刻まれる、快楽のリズムに酔い痴れる喜春の額に滲む汗を手で拭ってやる。
その手に頬を擦り付けて、「好きだよ、文生」と途切れ途切れに言うと、喜春は白濁を溢した。
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> 文生ったら~ご飯は喜春が作ってくれればそれでいい。なんて何氣にプロポーズしてない❓(笑)
「してないっす」by文生←カップ麺が作れればOK
夜桜見物~わざわざ行かなくても窓から見える(笑)ホノボノですが、急展開www次回、お楽しみに~♪
結太に相談して欲しかったのは、まあ、自分が一番長く「店長」だったからではないですかね?いいカッコしたい~なのはあると思う(笑)三木店長にでも言えばいいのにねえ!頑張れよ~結太。
そうそう、Sさまが指咥えていいなあ~と言うようなイケメンをご準備wwwああ、期待はずれだったら、ごめんなさい!!
そうですよ!!猪俣!!イケメン、長身、お料理上手!!三拍子揃ってプラス筋肉♪いかがですか~~!!←大安売り中
そう、現在の喜春の悩みはベッドなの。この安物のベッドがいつまで持つか?なんてね(笑)壊れたら同棲してやる!!と喜春は申しております。文生に責任取らせる!!
喜春はそうですね、積極的です(笑)グイグイ行くタイプ。可愛い部分は置いとこう~ってね。
> エチが始まったら老眼鏡かけるという(爆)
えっ!?いやん(///∇///)まあ中途半端な感じですが、書くと言ったら書くよwwwって感じで足しました(笑)もう、お終いです!!
貞操帯と河崎型張りぼて、意外と需要があったりして(笑)喜春も「それ、欲しい」と申しておりますwww
「あっ、少し大きめに作って!」だってwww河崎くん、用済みになるよ?今、気が付きましたが「張り型」と言うのですかね?
では、Sさまの今後の精進を期待しつつ、次回を読んでくださーい!!
コメントありがとうございました!
結太派ですか(笑)Aさまらしいです~♪ふふふっ
そうそう、結太には素敵な人が現れますって!お待ちを~♪
> 7月18日で、日高様のところに訪問するようになって1年経ちました!
そうなんですね!!ありがとうございます!!1年ですか・・・しみじみ。「Love me do」でしたね、あの頃は。今でも読んでくださってるんですね!ありがとうございます!!
日高もAさまの妄想をお聞きしてみたいですよ~(笑)
さて、家永の策略はいかに!?野望は果たせたんでしょうかねえ?航くんは今頃何してるかしら~~~???
メダカに聞いてみましょう!!
メダカ1号「毎日餌をくれるから、大好きです!」
メダカ2号「お水を替えてくれるんですけど、家永は僕たちを一緒に流しちゃうんです。でも航くんは優しく網で掬ってから替えてくれるんだ~」
メダカ3号「航くんですか?時々、ボーッとしてるけどありゃ、家永が夜中に抱き付いて離れないからだよ。可哀想に・・・」
だそうです。報告まで。
ええっと、航くんSSをご希望ですが、とりあえずですね「110話」に今後の予定のようなものを書いております。この後、先日のアンケートの結果で50票以上獲得したカプのSSを書いてしまおうと思ってました!!ですから、航と家永もその中に入ってます!!
のでので、お待ち頂ければ幸いです。すみませんっ!!待たせ過ぎ?ごめんなさいっ!!
お久しぶりにAさまの「航くんはどうしてますか?」が聞けて嬉しかったです♪まだまだ暑い日が続きますが、ご自愛くださいませね!コメントありがとうございました!
そうなんですよ、ラブラブ
河崎くんとしては、ずっと結太の上司だったわけですから、好きとか嫌いとか恋愛感情抜きに、相談して欲しかったんでしょうね。まあ、男はいいカッコしいなとこがありますからね!
そういうとこ、あるねえ~男はっ!全く、しょうもないヤツ!!と、生温かい眼差しで見守ってやってくだされwww
拍手とコメントありがとうございました!