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『夢見月夜曲』は日高千湖のオリジナルBL小説ブログです。

悪魔とベイクドチーズケーキ・109

★後半部分、18歳以下閲覧禁止です。年齢に達しない方、表現がお嫌いな方は回避願います♪




 部屋に行くと、喜春は床にちょこんと座って俺を待っていた。

「悪かったな。気を遣わせて」

喜春が楽しみにしていた花見が中途半端に終わってしまった。コンビニに寄って買って来たビールとつまみのチーズをテーブルに置くと、喜春はビールを手に取った。

「別に、気を遣ったわけじゃないよ。寒かったから」

「2、3日したら満開になるから、また花見しよう」

「うん。楽しみにしてる」

プシュッという音が響き、喜春は喉を反らしてビールを飲む。グビッグビッと、ビールのコマーシャルのような音を立てながらビールを喉に流し込む喜春の喉元。喉仏を上下させながら飲む姿は、顔に似合わず豪快だ。

複雑な気分だ。確かに喜春は男なんだが、どうして喜春に惹かれたのだろうか。そんな事を考えていると、彼の白い身体を思い出し俺の下肢は疼き始める。


 隣に座ると、喜春の手が俺の膝に乗った。

「結太くん、可愛いね」


俺の結太を『可愛い』と思うのは、子犬を見て『可愛い』と思うのと同じだった。確かに触れてみたくなった一瞬もあったが、今思い起こしてみれば、それは喜春と出会ってからだ。抗えない発芽が、結太へと手を伸ばさせた。不用意に触れてはいけない者に触れてしまったのだ、俺は。


「ヤキモチか?」

「ヤキモチ・・・じゃないな。結太くんはまだ、文生の事が好きでしょ?」

「さあ、どうだろ」

「わかる。わかるけど、あげない」

挑戦的な瞳の喜春が、俺の腕にしがみ付いた。

「ははっ。今更、『結太にあげる』と言われても、俺は困るけどな」

そう言うと、喜春は嬉しそうに笑った。コンビニの袋からビールを取り出すと俺に渡す。

「ありがとう。結太、《トリスタン》を辞めるそうだよ」

「ふうん」

驚いたふうでもない。

「喜春は知ってたのか?」

「直接聞いたわけじゃないけど、『噂』レベルだね」

「そうか」


忙しさに紛れて、スタッフとの会話が少なかったな。《イゾルデ》や《トリスタン》に顔を出す事もなく、《325》の事で満杯だった。

彼らとの会話の中に、ヒントがあったりする。例えば何が流行っていると聞けば、それが新メニューのヒントになったり、人気店のメニューの感想を聞いたり。気になる店があれば自分でも立ち寄ってみるしね。彼らが他所の店で経験した事が、接客に生かされる事もある。

会話が少ないと彼らの壁も高いままで、本音が聞けない。そういう部分を輝也たちに任せてしまっていたな。


「スーツ着て、就活中だってさ。『飲食業に興味があったわけじゃない』って言われた。俺だって、最初から興味があったわけじゃない。偶然拾われたのが『S-five』だっただけで」

残念な気持ちでもある。俺は、3年間結太を見てきたわけだ。うちに入社してくれれば、即戦力として活躍してくれたと思う。

「ふうん。今まで文生と話す機会もなかっただろうしね。話せて良かったじゃない?」

「ああ。でも、次のバイトも決まってると聞くと、ちょっとな」

喜春は不思議そうな顔をして俺を見た。

「大学の売店で働くそうだ」

「だから、なに?お金持ちのお坊ちゃんでもない限り、学生はバイトしないと生活費が足りない人が多いんだよ。次のバイトも決まってるんだったら、心配ないし」

「うーん、相談して欲しかった、かな?」

そう言うと、喜春は呆れたような顔をした。

「バカじゃないの?文生に相談するわけないでしょ?」

「いや、俺でなくても三木店長とか」

「今更良い人ぶってもダメ。結太くんは自分で考えて行動してるんだろ?だったら、良いでしょ?」

確かに。俺の自己満足を満たすだけだな。結太に良い人ぶってみても始まらないか。

「そうだな」

就活に行き詰っても、結太は相談などしないだろう。出遅れたとはいえ、まだまだ時間はある。大企業はすでに内々定を出している所もあると聞くが、今年は売り手市場だと報道されていたから、これからでも十分チャンスはあるだろう。

「ちょっと、羨ましいかも」

「どうして?」

「だって、今から自分の好きな仕事を見つけるんでしょう?俺は高校出て専門学校に行って、すぐに就職決まって、なんて言うのかな・・・決まった道だけ歩いてきた感じ。スーツ着て、会社訪問して、そういうの、ちょっとやってみたかった気もする」

「結構、大変そうだぞ」

「そうだね」


だから『S-five』に飛び込んできたのか。芝原と山西先生に縛られた生活の中で閉塞感を感じて、違う世界にやって来た。


「それに、本当に好きな事を仕事にしている人間が、この世の中に何人いるって言うんだよ。皆、どこかで折り合いを付けて働いてるんだ」

「まあ、そうだけど。文生は?」

「俺は今の仕事が好きだな。接客も好きだし、食べる事も好きだし」

「料理は作らないのに?」

「ははっ。これでも目玉焼きと肉じゃが、カレー、シチューなら作れる」

「基本が同じじゃないか?」

「まあな」

「あははっ、俺が教えてあげようか?」

「いや、喜春が作ってくれればそれでいい」

「うん」

喜春は楽しそうに笑った。立ち上がり、道路側の窓を開けると手招きした。

「なんだ?」

「ここから、ほら!桜が見えるんだよ」

窓から身を乗り出すようにして駅の方を見ると、桜が見える。ビルの間に浮かび上がる、ガラス細工のように儚げで幻想的な光景。

「夜になると、ここから見てるんだ」

「落ちるなよ」

「はーい」


駅前通りはまだ明るくて、星の光も届かないが、星望学園高等部のある方角には月が昇っていた。まん丸ではないが、もうすぐ満たされる青白い月。

その光は、喜春の肌に染みていく。


「喜春。パティシエはもうやりたくないのか?」

「うーん、したい」

「そうか」

「でも、今は文生の傍にいたい」

「そうか」

「追い出す気?」

「まさか。君のキャリアが勿体無いと思ってるだけだ」

「そう?じゃあ、その勿体無い喜春ちゃんのもう一つの才能をお見せしまーす!」

「なんだ?」

喜春はその場にしゃがみ込んで、背後から俺のモノを触った。

「なにやってんだよ」

「すぐに大きく出来まーす!」

「バカ、やめろよ」

「あははっ、いいじゃん」

喜春の手が雄を覆って何度も撫で回す。

「硬くなってるよ?」

「ああ」

当然だろう?君の手が、触れているのだから。



 喜春のベッドはシングルだ。男2人で寝るとギシギシと軋む。

「そのうち、壊れるよ、ね?」

「そうだな」

横になった俺の上に乗った喜春が、ゆっくりと腰を落とす。喜春に握られた俺の雄は、真っ直ぐに天を向き猛っていた。先端に触れる後孔の熱さにも漸く慣れた。

大きく息を吐きながら、喜春の後孔は雄を飲み込んでいく。

「あっ・・・まだ、動かないで、よ」

「ああ」

狭い内部を広げるように、自分で腰を揺すりながら馴染ませる。自分のイイトコロに雄を擦り付けては、身体をビクビクと跳ねさせて小刻みに動く。少しずつ雄が飲み込まれていくのが見えるのだが、それがなんともイヤラシイ。

「あっ」

キュッと締め付けてくる内壁。喜春が内部に飼っている生き物は、侵入して来た雄を逃がすまいと絡み付いてくる。

「動かない、でよ?」

「わかってるよ」


喜春は騎乗位が好きだ。時々、腰を突き出すと睨む。その度に、ベッドがギシッと音を立てる。ベッドの軋む音と俺たちの結合の深さは比例していて、腰を激しく振ればベッドは悲鳴を上げる。

俺はそれが嫌いではないが、喜春はそれが嫌いだと言う。


「俺の部屋に引っ越すか?」

「それは、やだ」

「嫌だ」と言われて納得いかない俺は、喜春の腰を掴んで下から大きく突き上げた。

「うあっ・・・やめ」

「どうして?」

「あっ・・・はあっ・・・ずっと、一緒にいても飽きないし、傍にいたい、けど」

「だったら」

「俺だって、独りになって、考えたい時も、ある」


そう言って、喜春は微笑んだ。

赤い唇はさっきまで俺の雄を咥えていた。白い液体を口の端から溢しながら、目を爛々と輝かせた喜春。一昨日は「文生の部屋は広いから、引っ越して来ようかな?」なんて言っていたクセに。

この、気分屋め。


「文生だって、そうでしょ?」

返事の代わりに、俺は腰を動かす。ベッドが壊れようが、知るか。

「もっ、待って、よ。もう少し、あっ、あっ」

喜春は背を反らして胸を突き出した。俺はそこに手を伸ばし、赤く色付いた尖りを摘む。

「ああっ・・・もっと、シて」

痛いくらいにギュッと摘むのも、彼は好きだ。喜春の動きが激しくなり、自分で自分の雄を握って擦り始める。

「あっ、あっ・・・い、いっ」

カーテンが開けっ放しの窓から、月が見える。


 喜春の動きに合わせながら、俺は腰を突き上げる。ギシギシと軋むベッドの音と共に刻まれる、快楽のリズムに酔い痴れる喜春の額に滲む汗を手で拭ってやる。

その手に頬を擦り付けて、「好きだよ、文生」と途切れ途切れに言うと、喜春は白濁を溢した。


*****

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2016/07/30(土) 17:25 | | #[ 編集]
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2016/07/30(土) 21:31 | | #[ 編集]
Re: 鍵コメ・Sさま~いらっしゃいませ♪
こんばんは~Sさま!!

> 文生ったら~ご飯は喜春が作ってくれればそれでいい。なんて何氣にプロポーズしてない❓(笑)

「してないっす」by文生←カップ麺が作れればOK

夜桜見物~v-252わざわざ行かなくても窓から見える(笑)ホノボノですが、急展開www次回、お楽しみに~♪

結太に相談して欲しかったのは、まあ、自分が一番長く「店長」だったからではないですかね?いいカッコしたい~なのはあると思う(笑)三木店長にでも言えばいいのにねえ!頑張れよ~結太。

そうそう、Sさまが指咥えていいなあ~と言うようなイケメンをご準備wwwああ、期待はずれだったら、ごめんなさい!!

そうですよ!!猪俣!!イケメン、長身、お料理上手!!三拍子揃ってプラス筋肉♪いかがですか~~!!←大安売り中

そう、現在の喜春の悩みはベッドなの。この安物のベッドがいつまで持つか?なんてね(笑)壊れたら同棲してやる!!と喜春は申しております。文生に責任取らせる!!

喜春はそうですね、積極的です(笑)グイグイ行くタイプ。可愛い部分は置いとこう~ってね。

> エチが始まったら老眼鏡かけるという(爆)

えっ!?いやん(///∇///)まあ中途半端な感じですが、書くと言ったら書くよwwwって感じで足しました(笑)もう、お終いです!!

貞操帯と河崎型張りぼて、意外と需要があったりして(笑)喜春も「それ、欲しい」と申しておりますwww

「あっ、少し大きめに作って!」だってwww河崎くん、用済みになるよ?今、気が付きましたが「張り型」と言うのですかね?

では、Sさまの今後の精進を期待しつつ、次回を読んでくださーい!!

コメントありがとうございました!
2016/07/30(土) 23:33 | URL | 日高千湖 #-[ 編集]
Re: 鍵コメ・Aさま~お久しぶりです!!
Aさま、お久しぶりです~お元気でしたか?毎日暑い日が続いておりますが・・・あっ、Aさまのお住まいの辺りは雨でしたか?

結太派ですか(笑)Aさまらしいです~♪ふふふっ
そうそう、結太には素敵な人が現れますって!お待ちを~♪

> 7月18日で、日高様のところに訪問するようになって1年経ちました!

そうなんですね!!ありがとうございます!!1年ですか・・・しみじみ。「Love me do」でしたね、あの頃は。今でも読んでくださってるんですね!ありがとうございます!!

日高もAさまの妄想をお聞きしてみたいですよ~(笑)

さて、家永の策略はいかに!?野望は果たせたんでしょうかねえ?航くんは今頃何してるかしら~~~???

メダカに聞いてみましょう!!

メダカ1号「毎日餌をくれるから、大好きです!」

メダカ2号「お水を替えてくれるんですけど、家永は僕たちを一緒に流しちゃうんです。でも航くんは優しく網で掬ってから替えてくれるんだ~」

メダカ3号「航くんですか?時々、ボーッとしてるけどありゃ、家永が夜中に抱き付いて離れないからだよ。可哀想に・・・」

だそうです。報告まで。

ええっと、航くんSSをご希望ですが、とりあえずですね「110話」に今後の予定のようなものを書いております。この後、先日のアンケートの結果で50票以上獲得したカプのSSを書いてしまおうと思ってました!!ですから、航と家永もその中に入ってます!!

のでので、お待ち頂ければ幸いです。すみませんっ!!待たせ過ぎ?ごめんなさいっ!!

お久しぶりにAさまの「航くんはどうしてますか?」が聞けて嬉しかったです♪まだまだ暑い日が続きますが、ご自愛くださいませね!コメントありがとうございました!
2016/07/30(土) 23:55 | URL | 日高千湖 #-[ 編集]
拍手コメさま(7月31日午前3時30分頃)
拍手コメさま、いらっしゃいませ♪

そうなんですよ、ラブラブv-10

河崎くんとしては、ずっと結太の上司だったわけですから、好きとか嫌いとか恋愛感情抜きに、相談して欲しかったんでしょうね。まあ、男はいいカッコしいなとこがありますからね!

そういうとこ、あるねえ~男はっ!全く、しょうもないヤツ!!と、生温かい眼差しで見守ってやってくだされwww

拍手とコメントありがとうございました!
2016/07/31(日) 11:51 | URL | 日高千湖 #-[ 編集]
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