『夢見月夜曲』は日高千湖のオリジナルBL小説ブログです。

あまりてなどか人の恋しき・7

 俺は日誌を適当に書き終えて、急いで教職員室に向かった。

気持ちは焦っていたが、その時は大貴はまだ教職員室にいるだろう、と楽観視していたのだ。いや、そうであって欲しいと思っていた。


 教職員室のドアをノックして、中から先生がドアを開けてくれるのを待つ。

「高等部三年、寺田彰彦です」

これが星望のシキタリだった。どうして、こう無駄な事をさせるんだろう!先生が中から開けてくれるのを待つ間が惜しいのに!

近くにいた先生がドアを開き、学年と名前を名乗り用件を伝えて、やっと入室を許可されるのに要した時間は一体何分だ!?

 教職員室を見回したが、大貴の姿は見当たらない。近くにいた有川のクラス担任の菊地先生を捉まえて聞いた。

「すみません、菊地先生。ちょっとお尋ねしてもいいですか?平井大貴はここに来ましたか?」

「ああ、寺田か!平井なら頑張っていたぞ。医学部の推薦枠狙いだからなあ。最近、とても頑張っていると他の先生方からも褒められていたぞ。寺田は無試験推薦が決まりそうだな」

そんな事は今、どうでもいいんだよ!菊爺。

「そうですか。ありがとうございます。先生、平井がどこにいるかご存知ないですか?」

「私の所にも質問に来たぞ。私がプリントをコピーしている間に小森先生の所に行ったが・・・小森先生!」

テニス部の副顧問の小森先生が、机の間からひょこっと丸い顔を覗かせた。小森先生は、愛嬌のある丸顔でニコリと笑った。

「おおっ!平井の保護者か!平井なら部室の荷物を取りに行くと言って、鍵を持って行ったぞ」

どうして鍵を渡すんだよ、小森先生!ついでに俺を『保護者』と呼ぶのは止めろ。

「どれくらい前ですか?」

「15分くらい前だったかな?保護者も大変だなあ。鍵はお前が責任持って返せよ!」

「わかりました!ありがとうございました!」

迎えに来る信吾さんは、車を玄関の車寄せに停める筈だ。俺は玄関経由で部室に向かう事にした。だが、俺は再び判断を誤った。

真っ直ぐに部室に向かうべきだったのだ。


 玄関前には既に信吾さんの車が停まっていて、助手席の横に立っていた有川が俺を見つけて駆け寄ってきた。

「大ちゃんが時間になっても来ないんだけど。どこにいるか知らない?彰彦くん」

ここにも来ていない。大貴が部室にいるのは間違いない。俺は焦った。

「大貴は部室に荷物を取りに行ったんだ。怜、一緒に部室まで行ってくれないか?」

有川は、意外と人の気持ちの動きに敏い。俺の顔をジッと見て、何かを感じ取ったのか「いいよ」と言った。有川が信吾さんに「部室に行く」と告げるのを待つの間が惜しくて、俺は大貴と自分のカバンを玄関に置き、部室に向かって走り出した。

有川が走って付いて来るのを確認し、俺は全速力で部室に向かった。

 部室までの距離がこんなに長く感じたのは初めてだった。

いつもなら、教室から部室まで大貴と話をしながら上る楽しい坂なのに。

大貴の荷物を持ってやって、肩を並べて部活に向かう。時にはこの坂が永遠に続けばいいと思うくらいに短く感じるのに、今日に限っては永遠に続くかと思うくらい、急で長い坂に感じた。

有川が遅れていたが、彼を気遣う余裕もなく、俺はひたすら坂を上り部室を目指した。

 既に部活が始まっている時間だった。部室が立ち並ぶ一角には、生徒はおらず辺りはひっそりと静まり返っていた。

時々、野球部やサッカー部の気合の入った声が響いてくる。テニス部の部室の前に着き、荒く息を継いでいると追い付いて来た有川が両膝に手を付いてゼエゼエしていた。だが、そんなのには構っていられない。

運動部の部室が並んでいるが、周囲に人気はない。俺はテニス部の部室の前で「大貴!」と呼んだが、返事はない。部室のドアを引くと鍵が掛かっていて、ドアは開かなかった。

「あれ?鍵が掛かってる、いないのか?」

クソッ!大貴が閉めて出たのであればいいんだが・・・。頼むから、俺たちとすれ違いになっててくれ。

「えっ、大ちゃんいないの?」

「ああ」

部室の鍵は顧問と副顧問が一本ずつ持っている。生徒で鍵を持っているのは、部長と掃除当番だけだ。顧問と二年生の新部長は校外試合で出ているから、校内で鍵を持っているのは掃除当番の渡部と小森先生から鍵を借りた大貴だけだった。

鍵を掛けたのは、誰だ?


 部室の中から微かな音がした。籠もったような声、小さな物音が確かに聞こえた。

「有川、しっ!」

耳を澄ますと、中から微かに音がする。

中に、誰かがいる・・・。

「怜、中に誰かいるよな?」

「うん。中に誰かいる、大ちゃんかな?」

「大貴!」

俺はドアをダンダンと力一杯叩いた。確かに中で物音がしたが、中から応答はない。絶対におかしい。

中にいるのが大貴と渡部だったら?

俺は野球部の部室の前に置いてあるバットに目を留めた。バットでドアの上部のガラスをぶち破ろうと考えたのだ。それが手っ取り早い。ガラス代は弁償すればいい。

そう思った俺は、バットを取りに行こうとした。その時だった。中から、カチリと鍵を開ける音がした。俺は勢い良くドアを開け、中を見て愕然とした。

そこには嫌な笑いを浮かべる渡部がいた。渡部の向こうに、部室の真ん中に置かれた大きな木のベンチの上に転がされて手首を縛られ、制服のほとんどを剥ぎ取られた生徒がいた。

それはズボンも半ば脱がされて、泣いている大貴だった。

*****

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ここまで推敲しながらUPしておりますが、こんな恥ずかしいものを平気で公開していたなんて・・・。お口アングリですわwww修正箇所、多過ぎ。

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