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『夢見月夜曲』は日高千湖のオリジナルBL小説ブログです。

あまりてなどか人の恋しき・14

 急降下した大貴のご機嫌に構っていたら、話は進まない。

 俺は清香との関係を掻い摘んで話して聞かせた。

清香の父が親父の病院に勤務している事。清香には兄がいて星望の医学部に進学しているから、学内の雰囲気や授業の事、受験勉強の進め方を相談した事。清香の家とは、家族ぐるみの付き合いである事。

大貴は聞いているのかいないのかわからないが、何度か頷いた。

「へえ~可愛い子だし、お似合いじゃん!」

全く伝わっていないじゃないか?

「だから!清香の友だちが俺と会いたいって・・・それで仕方なく会うことになって・・・」

大貴は食べ終えたチョコバーの棒を口に銜えたままで、じっと俺を見ている。これは、疑いの眼差しだ。

このまま黙っていては疑いは晴れないぞ。

「清香は『大貴を紹介しろ』、って言ってんだよ。今日も大貴を追い掛けて上に戻って、『大貴とお茶したい』って急かされてさ。電話しても出ないからダメだって、宥めて帰したんだぞ。おかげで怜も誘って3×3で合コンだ、って言い出して」

やむを得ず清香と会っていた本当の理由を話すと、大貴はキョトンとした。

「清香の友だちがテニスの試合の時に怜の近くに座ってて、怜が俺たちと話してるのを見てたんだよ。だから、合コンをセッティングしろって。お前が電話に出てくれればよかったんだよ」

言い掛かりのようになってしまったが、要するに伝わればいいんだ。伝われば!

「俺は・・・俺はてっきりお前と付き合ってるんだと、思ってた・・・」


誤解だよ、大貴。俺が付き合いたいのは、お前なんだよ。


「付き合ってないし。それより信吾さんが、許さないよね?怜を合コンに誘うなんて・・・」

一番の難関かと思い恐る恐る尋ねてみたが、大貴は乗り気だった。

「いや、大丈夫だと思う」

「そう?じゃ、怜が休みの水曜日に、駅ビルのカフェに行こう!?巨大パフェがある店だ」

頷く大貴を確認して、思わず笑顔になる。

 あそこの巨大パフェは全長80センチと本当に大きい。前に大貴が「二人で挑戦しよう」と言ったが、ショーケースのサンプルを見て二人では到底無理だと諦めた経緯がある。

「他に誰か誘おうよ」と大貴が言ったが、俺は却下した。

巨大パフェを、むさ苦しい野郎たちが舐めたスプーンで食べるのだ。他の男の唾液が付いた部分が大貴の口に入ると思うと、気に食わなかったのだ。

「あれを二人で食ったら、ニキビがいっぱい出来るぞ」と言って脅すと、「家のチョコバーで我慢する」と言う大貴が愛しかったんだ。あの時は、絶対に皮膚科医になって一生大貴のニキビの為に働いてやろう、なんてバカな事を考えたものだ。

有川の零れるような色気に、大貴がノックアウトされちゃ堪らない。それに、今はもう一つの障害物が現れた。二年の門脇遼平だ。

男と付き合うくらいなら、女の子と付き合ってくれた方がマシだ。清香の事を「可愛い」と言ってたし、大貴も気に入っているようだ。清香と大貴が付き合えば、いい距離感で『親友』を続けられる。

一石二鳥じゃないか!?

安易な考えに満足していると、大貴が思いがけない事を質問してきた。


「彰彦、お前さ。その・・・女の子と経験あるの?」

いきなり、本丸に切り込まれたような気分だった。

この手の話は男同士では当然話題に上るけれど、俺は一度も口を割った事はない。当然、大貴とはこういう話題は避けていたのだ。

理由はひろ子の存在だ。

それに、誘われて後腐れなさそうな女子大生やOLと一夜を共にした事も、一度や二度じゃない。

俺の事も知られてしまうが、この際だ。大貴の「経験」を知りたいと言う気持ちに負けた。

「あるよ。初めては中二の時」

「へ・・・え・・・ぇ」

微妙な表情だな。どう思ったのかな。今度は、俺が切り込む番だった。

「お前は?人に聞いといてずるいぞ。言えよ」

大貴は目を泳がせながら答えた。

「あるよ、高一」

全く、油断も隙もないな。相手は誰だよ?

俺は自分の散々な女性遍歴は棚に上げて、大貴に女性経験がある事に不機嫌さを隠せなかった。大貴は聞いてもいないのに相手の事を語り始めた。

「ほら、夏に二週間くらい信ちゃんのマンションに居候してただろ?あの時、実は女から逃げてたんだよ」

確か夏休みに入ってすぐ、急に「信ちゃんのマンションにしばらく泊まる」と言い出したのを思い出した。あの時理由を聞くと、「かあさんと、ケンカしたから」と言わなかったか?

何かおかしいと思ったんだよな。誰だ?俺の大貴にストーカー行為をしたのは!?それに、俺に隠し事をしていた事がショックだった。つい顔付きが厳しくなっていたのだろう。俺は大貴から返り討ちに合う。

「彰彦の相手って誰?」

「親父の病院の看護師。興味あったし、誘われたし・・・それに・・・」

まさか「お前と雰囲気が似てたから」、なんて言えないよな。

「それに?」

「いや、何でもないよ」

疑惑の眼差しが再び向けられた。

「言えよ」

「いい、大したことじゃないよ」

答えない俺に、大貴が納得出来ないと言わんばかりの視線を送ってきた。俺は話しを反らすしかない。

「それはそうと、先週の水曜日さ。正門で門脇遼平とイチャイチャしていたよな」

「へっ?」

ずいぶん間の抜けた返事だったが、大貴も驚いたに違いない。

「縁石に引っ掛かって転びそうになったのを、門脇に助けてもらっただけだよ。イチャイチャはしてない」

抱き合っていたじゃないか。ボオ~~~ッと、門脇に見蕩れていたじゃないか!?

どうして、俺といる時に縁石に引っ掛からないんだよ?

「抱き合ってたし、俺も見たし」

「抱き合ってたって・・・なんだそれ」

「噂になってるのに、知らなかったのか?」

星望では、こうしたちょっとした接触は要注意だ。すぐに噂になってしまうから。

「知らないよ!門脇が支えてくれたのは確かだけど。それに俺、その後二日間休んでたんだぜ!噂なんて知るかよ!」

そんな事はわかってるさ!

『抱き合ってたように見えた』だけでも『抱き合ってた』かのように噂は広まるんだから。そんな事実よりも、俺は大貴と門脇が噂になるのが気に入らないんだよ。

「正門前で門脇とお前が抱き合ってたって噂になってんだよ。門脇はお前のことを『可愛い先輩だ』と言ったらしい」

大貴は頭を抱えて、怒りを爆発させた。

「なんで、そんな話になるんだよ!俺は門脇と、ほぼ初めて話したんだぜ!しかも『ありがとう』ってお礼言っただけで・・・」

そんな初対面に近いようなヤツと噂になるお前が悪いんだぞ、大貴。

お前と噂になるのは、俺だけでいいんだからな。
 
*****

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今日は迷走中の彰彦くんを更に、爆走させて見ました(笑)

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