『夢見月夜曲』は日高千湖のオリジナルBL小説ブログです。

あまりてなどか人の恋しき・36

 大貴とのキスは甘くて、俺を夢中にさせる魔法だ。

きっと大貴は初心者マーク付きの可愛らしいキスを女の子としていたのだろう。

触れるだけの軽いキスから慣らして、唇を開かせ舌を入れ、口蓋をなぞり刺激する。更に角度を変えて、舌を絡めて吸い上げると苦しくなったのか、背中を叩いて抗議した。

やり過ぎたかと反省しつつ唇を離すと、トロンとした瞳で俺を見上げた。


このベッドは何の為にここにある?ただ、寝る為か?

いや、違う。

馬鹿でかいのは恋人たちの為ではないのか?そんな目をして無防備にベッドに寝そべっているお前が悪いんだよ、大貴。

そろそろ、覚悟を決めてもらおうか・・・。

俺は、大貴のジャケットを脱がせようとボタンを外した。すると大貴は、慌てて俺の手を掴み阻止しようとする。


「なんだよ」

「あ、あの・・・」

「あの」って、お前は有川か?

「なんだよ」

少し意地悪な言い方をしてやると、大貴は頬を染めた。

「キスだけでいいです」

可愛い。可愛過ぎる。何だよ、それ。

「ははははっ!」


俺は思わず声を上げて笑ってしまった。それを見た大貴は頬を膨らます。やられたよ、大貴。なんて可愛いんだ。

その言葉の一つ一つが俺を虜にしてしまうのだ。


 俺を拒否しながらも未だにベッドに寝転がったままの大貴を抱き起こして、俺はベッドに胡坐を掻いた。

「ごめん。焦った・・・。大貴がイヤならそれでいいよ。キスならいいのか?」

「キスなら・・・いい」

大貴はキス限定のお許しをくれた。ちょっとガッカリだが、まだまだ初心な大貴を手に入れられてちょっと、嬉しい。

そっと目を瞑った大貴は、自ら俺のキスを待っている。俺はゆっくりと大貴の髪を撫で、頬を撫で、背中に手を回してそっと引き寄せようとした。

しかし甘い香りを発する花のような大貴の唇に引き寄せられた愚か者は、唇に辿り着く前に花から拒否されてしまった。


 大貴は俺の胸を押して、俺から離れようとする。

「ダメ?」

キスだけならいいと言ったクセに。

「ダメじゃないけど、ダメ!」

「なんだよ、それ」

ますます大貴を好きになる。もう、笑うしかなかった。

「あははっ。ワガママなんだから」

大貴はソッポを向き、ボソッと言った。

「澤村と美術室に行った」

「あれは、お前が門脇に抱き抱えられたりするからだ。あの時、学食は騒然としたんだぞ。指笛は鳴るは、テーブル叩いて囃し立てるヤツもいたし、畑中は『俺の大貴が~っ』と騒いで俺の所まで来て『取り戻せ』とか言うしさ。ムカムカして学食を出たら澤村が追いかけてきて、美術室に忘れ物をしたから付いて来てくれって言うから、一緒に行っただけだよ」

大貴は不信感いっぱいの顔で俺を見る。本当の事だし。「美術室に行った」流れは、今言ったとおりだし。嘘はない。

「嘘だ!五時間目サボったって、畑中が言った」

また畑中だ。後期のクラス委員に、謝恩会の実行委員を追加決定だ。覚えてろよ、畑中。

「サボったのは本当だけど、寝てただけだよ」

「澤村と寝たんだ!?」

『寝てた』にものすごく反応してる。

「澤村は先に戻ったよ。プライドが許さなかったんだろうな。終鈴間際にまた美術室に戻って来て、『一緒に出てくれ』と言われたんだよ!せまられたけど、丁重にお断りしました」

本当の事に少しの嘘を混ぜて説明する。キスのくだりは抜いた。

「どうして?」

そりゃあ、据え膳だったよ澤村は。でも・・・。

「俺の初めてのオトコは大貴だと、思っていたから」

大貴は嬉しそうに、顔を輝かせた。

澤村とのキスは生涯、秘する事とする。

それに、美術室でサボった時には本当に澤村とソファーで寝ていただけだ。言わなくてもいい事は黙っているに限る。

「だから、キスしよ?」

「いいよ」

キスのお許しを頂き、喜び勇んで顔を近づけた俺に、大貴は再びストップを掛けた。

「ホントに澤村とは何もないんだな!?」

「しつこいなあ。なにもないって」

お遊びは、ここまで。ここからは大人の時間だよ、大貴。


 大貴もキスを予感したのか、目を瞑った。よし!

俺は大貴をベッドに押し倒した。軽く両手首を纏めて握った俺は、大貴の手首に巻かれたリストバンドを指差し聞いた。

「これ、外していい?」

「ダメ」

「どうして?」

「渡部に縛られた痕が・・・まだ残ってるから、やだ。見たくないし、見られたくない」

「見たい」


俺はどうしても見たかった。大貴がイヤだという気持ちはわかる。俺だって、見たくはない。

だが、油断したらこうなるんだと自分自身に悔しさを叩き込みたかったんだ。二度と大貴をこんな目に合わせやしないさ。

自分自身の戒めにする為にも、見なければならないのだ。

*****

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