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『夢見月夜曲』は日高千湖のオリジナルBL小説ブログです。

あまりてなどか人の恋しき・41【最終回】

★前半の一部18禁です。ほんのチョットです!



 大貴をお姫さま抱っこしてバスルームへと向かった。

数日前の学食での出来事を思い出して、ちょっとだけムカついた。これは門脇に先を越されたのだ、と思うと悔しい。

しかし今頃、門脇は大貴にすっぽかされたと悔しがっているに違いない。そう思うと、少し溜飲を下げた俺。


 大貴を湯船に入れ、後藤さんにベッドメーキングを依頼して自分も湯船に浸る。大貴はジャグジーバスが気に入ったようで、丸い風呂の中で手足を伸ばして楽しんでいた。外は薄暗くなり、明かりが灯り始めた街並みが眼下に広がる。

「うわぁ~綺麗!暗くなったらもっと綺麗だよな?」

「そうだな、ビルの窓明かりや車のライトも綺麗だぞ。月も綺麗に見える」

「ふうん」

風呂の縁に捉まって、バタ足しながら夜景を楽しむ大貴を後ろから捉え抱き締めると、大貴はジタバタしながら俺の手を振り払い反対側へと逃げていく。

「触るなって言っただろ!」

「ケチ!」

「ケチ・・って、お前・・・俺のどこがケチなんだよ!」

「じゃ、手だけ」

俺が手を出すと渋々手をとった。手首を確認して、渡部のバカが付けた痕が俺の痕に替わっていることを確認した。

よしよし。

首筋の痕も俺が付けたヤツだし・・・ニヤニヤしていると、大貴は不満気な顔で忌々しそうに手首を眺める。そして頬を染めたかと思うと、急に青くなった。

「帰らなきゃ、信ちゃんが怖い。俺、怜を置き去りにした。どうしよう!すごく怒ってるよ!」

ああ、青くなった理由はそれか。

「大丈夫だよ、怜は、信吾さんが回収したはずだから」

「へっ?」

間の抜けた返事にピッタリな、間の抜けた顔で俺を見ている大貴。まだわかってないんだね。

「信吾さんは知ってるんだよ。だから、大丈夫」

「なに、言って・・・」

大貴は「理解不能です」という顔をして、湯船に頭まで沈んでいった。


可愛すぎるだろ、この反応!

いつまで沈んでいる気か知らないが、いい加減呼吸が持たないだろうと思って両脇を抱えて湯から引き出した。


「信吾さんは知ってるから大丈夫だよ」

「なに言ってんだよ!・・・ここ、信ちゃんが用意したのか?」

ああ、ここか。確かに、高額のスイートルームなんて高校生に用意出来るはずがないもんな。俺の小遣いの額を知ってる大貴には、それが不思議だったのか。

「ここは親父が年間契約しているんだ。学会の後の飲み会で遅くなった時に使ったり、知り合いがこっちに来た時に泊まらせたり、しょっちゅう結婚式に夫婦で呼ばれるから更衣室代わりに使ったりしてる部屋」

大貴は「ふうん」と言いながら、身体に触れる俺の手を払い除けた。

「怜から電話で、お前が門脇とルーデンスGホテルのカフェでデートしてるって聞かされて、もう・・・居ても立ってもいられなくなって。頭に血が上って・・・タクシーでここまで来たんだぞ!おかげで、今月の小遣いはパアだ」

大貴は目を瞠ったり、口を尖らせたり、一人で百面相をしてみせる。

「どうして、信ちゃんが・・・」

「タクシーの中で信吾さんから電話もらった。大貴のことどう思ってるんだ、って聞かれたよ。もちろん『恋愛感情で好きです』と答えたよ。大貴が苦しむのを見たくないから、大貴の傍に一生居られないんだったら、絶対に手を出すなって言われた。離れないと誓いますって言ったら、『誓うな』って笑われたよ」

俺は話しをしながらも手を遊ばせてはいない。百面相がお得意の大貴の身体にあちこち触れながら、その可愛いらしい反応を楽しんだ。時々、「あっ」と小さく声を上げ、手をバシッと叩くけど気にしない。

敏感な身体は、徐々に艶を増す。

「自分に誓ったりしなくていいってさ。どういう形であれ大貴の傍に居られるように考えてくれって言われた。親友としての立場で我慢出来るんなら、それを死ぬまで貫けって。毎日調子が悪そうにしてる大貴を見るのが辛いそうだ。大貴に俺の気持ちを伝えるのは許そう、後は大貴次第だ。チャンスは二度はやらないからな、って言われた」

うんうんと頷く大貴。そして、首を捻る。

「信吾さんにも言ったけど、親父は俺が大貴を好きだってことを知ってるんだ。だから、俺の決断は親父には受け入れてもらえるから」

大貴の百面相はまだまだ続く。困ったような、嬉しいような、よくわからない表情のまま大貴は再びブクブクと湯船に沈んだ。今度は大貴の気の済むまで潜らせていると、苦しくなったのか納得したのか浮上して来た。

「俺は・・・」

びっしょりと濡れた髪を、乾いたタオルでガシガシと拭いてやりながら「なんだ?」と、聞き返す。すると、大貴は堰を切ったように文句を言い始めた。

「俺は、彰彦が意味わかんないこと言ったりする度に、吐き気がしたり、胃がジガジガ痛んだり、倒れたり、忙しかったんだからなっ!原因は全部、お前だったんだよ!責任取れよ!」

大貴の体調不良の原因が全部、俺?

えっ?

責任だろうがなんだろうが取るに決まってるさ。喜んで「責任取ります!」と言いたい気分だったが、俺は心を落ち着けた。

「はい、はい」

「『はい』は一回だ!推薦が貰えなかったら、お前の所為だからな!」

大貴に「はい、はい」と返事をすると、必ず「『はい』は一回だ」と言う。「バカにされてる気がする」と言って怒るのだ。その様子が可愛くてわざと言ってみたりもするが、それは大貴には内緒だ。

「わかりました!ごめん!勉強には付き合うよ。それに、門脇とは俺が話を付けるから」

そこだけは譲れないのだ。

「野蛮なことになるからいい!俺がちゃんと話をするからお前は黙ってろ」

酷い。人を野蛮人扱いしやがって!

俺は「チッ」と舌打ちしながら、大貴の後ろに指を這わせた。

「さっきまであんなに可愛かったのに・・・」

大貴は顔を真っ赤にして俺の手を振り払う。

「さっきって・・・もう、忘れとけ!」

バシャバシャと音を立てながら、ジャグジーの反対側へ逃れようとした。

「もう、絶対に触るんじゃないぞ!信ちゃんに、酷いことされたって言いつけてやる!」

そんなことを言いながら俺の手から逃れようとするが、俺はガッチリとホールドした。

「可愛い」

それに反応したかのように大貴の体からクタッと力が抜ける。しなやかな身体を抱き締めて、「もう一回、ね?」と囁いた。

「やだ!俺、帰らなきゃ!外泊許可は出てないから!」

ジタバタ暴れる大貴。今更、外泊許可もなにもないだろう?

「ダメ・・・大貴が可愛すぎて止められない、大貴が悪いんだぞ」

それでもジタバタは止まず「ヤダ!帰る!」と、最後の抵抗。

やっぱりここに泊まるからには、夜景を眺めながら大貴を愉しまないと。大貴の身体を少し浮かせて、風呂の縁に手を付かせて大貴の緩んだ後ろに、すでに勃ち上がった俺自身をグッと進めた。

「やあっ・・・んっ」

艶っぽい声が上がり、キュッと包んでくれるソコは俺を逃すまいと絡みつく。もう離せそうにないな、この身体。

でも、それだけじゃない。

可愛い外見を裏切るくらいに意外と男前な性格も、バニラアイスでご機嫌が良くなってしまう単純な所も大好きだ。

俺にはもちろんだけど、誰にでも我が儘全開で、畑中なんか顎で使っちゃう所も、思い立ったら即行動する所も、思ったことはポンポンと口にして人を困らせてしまう所も、可愛くて堪らないのだ。

少々の失敗は俺がフォローすればいいんだし、困ったことになっても心配は要らない、全て俺が助けるから。


この我が儘姫の面倒をどこの誰が好き好んで見るって言うんだよ。な、大貴。


「『親友』やめて良かった、これで、コイビトだからな」

「うん」

もっと早く、もっといっぱい突いてと貪欲な大貴の身体を、後ろからギュッと抱き締めた。


 湯船から出る頃には大貴はすっかり逆上せてしまい、俺は召使のように甲斐甲斐しく水を飲ませ、おでこを冷やし、「さっさとしろ!」と急かされながらバニラアイスを注文したのは言うまでもない。


 翌日。大貴は、いつも信吾さんが大貴の為に呼んでくれるタクシーの運転手さんに電話をしてをホテルに呼びつけた。このタクシーの支払いは、もちろん信吾さんだったりする。

「いいのか?」

「信ちゃんが悪い!俺、お前の所為で電車なんて乗れない!」

大貴は信吾さんの所為なのか、俺の所為なのかよくわからない理屈を捏ねて、タクシーを《銀香》の裏に乗りつけた。有川にはメールで自分の荷物を纏めて「持ってくるように」と指示していたようで、《銀香》の裏手には有川が紙袋を手に待っていた。

「怜、恨むからな!」

お礼を言うでもなく荷物を受け取る大貴のツンツンした態度に、おろおろする有川が気の毒だ。俺は、「気にするな!俺が悪いんだからな!」とフォローし、信吾さんには会わずに帰るという大貴の代わりにお礼を言った。

「ごめん!信吾さんによろしく言っといてくれ。悪い!後で来ますって伝えて!」

タクシーは大貴の家に向かって走り出す。

「明日の体育は見学じゃないか!俺、サッカーしたかったのに!もう、明日も保健室で、プリントしようかな・・・」

すっかり胃の調子は良くなったようだ。サッカーが出来ないとションボリする大貴の手を握るが、大貴は目を吊り上げて俺の手をバシッと叩く。

「明日は保健室じゃなくて、美術室だろ?」

そう言うと、今度は頭を思いっきり叩かれた。

凶暴な大貴に何度も叩かれて痛いが、俺は幸せ一杯だ。

「ニヤケてる俺とむくれてる大貴は恋人同士なんです!」と、タクシーの窓を全開にして叫びたいくらい、俺は幸せだ。

*****

ご訪問ありがとうございます!最終回までお付き合いありがとうございました!

この一週間、書き直しが多過ぎて心が折れる日々でしたwwwおかげで、投票の結果を見ながら色々と書きたい物を拾って書き始めていたのが止まってしまいました。彰彦の所為で、スランプじゃないか!

という事で、ここからは番外編をお楽しみくださいませ♪

   日高千湖

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ありがとうございました! 
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コメント
お疲れさまでした~
日高様~~~きゅうきゅううっっ

書き直し・・・
私はとてもじゃないですが、書き直しなんてできないっす( ̄∇ ̄;)
日高様、すごい・・・尊敬します~~~
ホント、お疲れさまでした。

私は季節の変わり目と蓄積疲労のせいで、ヘルペスができてしまいました。
食事のたびに沁みます・・・ううう(>_<)
日高様もご自愛ください。

私の耀ちゃんは元気かしら。
体調崩してないといいけど・・・風邪とか引いてないかな。
にゃんこたちに囲まれて楽しくやってるかしら~
2018/02/24(土) 01:02 | URL | にゃあ #-[ 編集]
Re: にゃあさま~ありがとうございました~♪
にゃあさま~きゅうきゅきゅっ♪

> 書き直し・・・
> 私はとてもじゃないですが、書き直しなんてできないっす( ̄∇ ̄;)
> 日高様、すごい・・・尊敬します~~~
> ホント、お疲れさまでした。

頑張りました!!というか、あまりにも酷い文章でですね。そのままではとても公開出来ない代物でした(笑)自分でも呆れながら修正しましたwwwもう、疲れた(*´Д`)=3ハァ・・・

よくあんな物を晒していたなあ・・・と。放置しすぎにも程があるだろ?と思って、この機会に全てこちらでUPします。

> 私は季節の変わり目と蓄積疲労のせいで、ヘルペスができてしまいました。
> 食事のたびに沁みます・・・ううう(>_<)
> 日高様もご自愛ください。

あらら!大変ですね。仕事が忙しいのは何よりですが。ほら、扶養家族のリアル風太くんもいますしね。ヘルペスは大変ですよね!日高もよく唇に出来ます。いつも薬を買って来て塗り塗りしてますよ~。早く良くなりますように!!

> 私の耀ちゃんは元気かしら。
> 体調崩してないといいけど・・・風邪とか引いてないかな。
> にゃんこたちに囲まれて楽しくやってるかしら~

にゃあさまの耀ちゃんはですね、現在5匹の猫ちゃんに囲まれて、幸せでーす!
比呂人の嫉妬渦巻く屋敷の中で、幸せでーす♪ふふふっ、2月22日の猫の日に合わせてSSをUPしたかったんですが、ちょっと間に合いませんでしたwwwごめんなさいっ!(ポーの一族の新刊を読んでしまってました)

まずは体調を整えてくださいね!木の芽の頃は体調も崩しがちですからね、お大事に!!

コメントありがとうございました!
2018/02/25(日) 00:27 | URL | 日高千湖 #-[ 編集]
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