『夢見月夜曲』は日高千湖のオリジナルBL小説ブログです。

さしもしらじな萌える思いを・5~『あまりてなどか人の恋しき』番外編

 クリスマスイブだ。恋人たちの為のクリスマスイブだ・・・だろ?違いますか!?

「毎年クリスマスイブは《イゾルデ》でとうさんたちとディナーだ」、と言い切った大貴。

そんなの、知ってるさ。

実家には滅多に顔を出さない和貴さんも必ず出席する、知ってる。

信吾さんもどんなに忙しくてもその場に顔だけは出す、それも知ってる。

だけどさ、俺はどうすりゃいいんだよ!

去年も譲った。お互いに家族と過ごした。今年くらいはさあ、いいじゃん?だって「準備」ってものをしてるんですよ?俺も!
 
「いいなあ~信ちゃんと怜はニューヨークで休暇かあ~!」

有川改め滝山怜二がパスポートを申請に行ってから、何度も聞きましたとも、その言葉。

ニューヨークは無理だけど俺だって、大貴と食事してイルミネーションを堪能してプレゼントを交換して・・・そう考えてホテルも予約したさ。

夜景が素敵なホテルに1人寂しく泊まれ、って言うのか!?俺がキャンセルした部屋はどこかの幸運なカップルに譲りました。

これ程不幸なクリスマスイブはない。

仕方ないから今年もクリスマスイブは家族と過ごした。実家で家族とケーキを食べて、母が作ったローストチキンをお土産にもらって。両親からはタイピンとカフスのセットを貰った。


「あ~あ」

車は混むからと電車移動にしたはいいが、周りはイチャイチャするカップルだらけ。駅のコンコースで混雑する改札を眺めてウンザリしていた俺の背中に思いっきり衝撃が襲った。

早々と酔っ払いか?と、振り返って驚いた。

「ひろ子ちゃん!」

「久しぶり!あきちゃん!」

相変わらず可愛いくて元気なひろ子ちゃんだった。別れ話をしてから一度も会っていない。1年半ぶりか。

「元気だった!?」

「1人なの?大貴くんは一緒じゃないの?」

ああ、その質問はNGです。

「家族とディナー」

「ふられたんだ!あはははっ!」

放っておいて下さい・・・。

「ひろ子ちゃんこそ!彼氏は出来たのか?」


ひろ子ちゃんは、実を言うと中学生の頃から俺の・・・まあ、つまり囲ってたと言うかマンションに住まわせて・・・。まあ、その、なんだ・・・セフレだ。ここんところは大貴には内緒だ。


「当然デート!こんなに可愛いひろ子ちゃんを世の男性方がいつまでも放っておくはずないだろ!?」

「そうだね!良かった・・・元気そうで」

「じゃあ、またね!マンションありがとう!」


「マンションありがとう」はこっそりと囁くように言って、ひろ子ちゃんは改札を抜けていった。

良かった、元気そうだ。

「あ~あ」

再び「あ~あ」と溢して俺も改札を抜けようと足を踏み出し目を瞠った。

「こらーっ!」

「・・・大貴!」

ああ、愛しの大貴くん!なんて可愛いんだ!サンタの赤い三角帽子を被って切符売り場の前で仁王立ちだ。

「大貴!」

「寄るな!」

今のひろ子ちゃんとのツーショットを見ていたらしい大貴は、プンスカ怒っている。膨らました頬が赤くて可愛い。


「大貴!会いたかった!」

「寄るな、触るな、近づくな!」

可愛いサンタ帽の大貴が、全力で俺を拒絶する。

「なんでだよ!」

「俺はな・・・。お前が可哀相だと思って、食事が終わってすぐにお前ん家に行ったんだよ!でも、お前はチキンを持って出た後で、仕方がないからここまで走って来てみれば・・・。電車に乗る前に捉まえられるかもと思って走ってきたのにさ!女と楽しそうに話しちゃって・・・可愛い子だな!」

「誤解だよ!」

スーツにサンタ帽の可愛い大貴が、ヤキモチを妬いている!しかも地団駄踏んで!

抱き締めようとすると「おい!公衆の面前だ!やめろ!」と、速攻で拒否られた。

「アイツ、お前のセフレだろ!?」

なんと勘が冴えてるんでしょう、大貴くん。しかも、そんな大きな声で・・・。

「違うよ」

「絶対にそうだ!俺の勘を侮るなよ!」

周囲の視線が痛くないですか?大貴くん。

「大貴、ちょっと声落とそうか?!」

「はあ!?」

次第にエスカレートする大貴。

こうなったら、手が付けられなくなる前にタクシーだ。強引に手を引き「離せ!」「バカ彦!」と騒ぐ大貴をタクシーの中に押し込んで、俺の部屋に向かった。

案の定、大渋滞。大貴はムスッとして窓の外ばかりを見てる。

「はあっ・・・」

折角のクリスマスイブなのに・・・。どうして喧嘩になるんだよ?

「大貴?」

「・・・」

返事はない。これは追及されるなあ。本当の事を言ったら怒るよなあ・・・。どうするかなあ。

ふと窓の外を見ると河川敷に大きなクリスマスツリーが見えた。


「運転手さん!あのツリーのある河川敷に行けますか?」

「ああ、橋を渡ったら降りる所がありますよ。行きますか?」

「お願いします!」

「寒いのに・・・」


ボソッと呟いた大貴。

だが、目の前にツリーが見えると「写真撮ろうよ!」と子どものようにはしゃいだ。迷惑そうなカップルにデジカメを渡して記念撮影。ベンチに座ると「手!」と、右手を俺のポケットに強引に手を入れて中で手を繋ぐ。

「あの子・・・可愛かったな?」

「ごめん・・・初めて会った時、大貴に似てた。それで・・・」

「あの子か?お前の初めてのお相手」

「そう」

「そうか!年上だろ?俺の経験なんてさ・・・常識の範疇だ!お前のは違う!散々ヤりまくったって感じ・・・。まあ、いいか。今更だからな・・・。でも、お前浮気したら、わかってるな!?」

「はい、はい」

「『はい』は一回だ!このバカ彦!」

可愛い。許してくれたらしいな、大貴。

「キスしたいんだけど」

「無理!帰るぞ!」

大貴はさっさと立ち上がると、待たせていたタクシーに乗り込み俺を置き去りにして行ってしまった。走り去るタクシーの赤いテールランプが恨めしいよ。

 ここから歩いて1時間も掛からないか・・・。延々と続く渋滞の車列を追い越して歩く。なんだ、歩いた方が早いじゃないか!?

10分ほど歩いた所でタクシーの窓が開き、「彰彦!」と、声が掛かった。大貴だ。

「乗れ!」

俺はクスクスと笑いながらタクシーに乗った。

「お金、足りないから乗せてやる」

可愛すぎる!

もう、運転手さんの視線なんて関係ない!ギュッと抱き締めてジタバタ暴れる大貴の唇を奪う。

金欠病の可愛いサンタクロースは、その後もひろ子ちゃんのことを追及し続けた。俺が全てを白状するまで、延々と正座させられて、事細かに「ひろ子ちゃんと俺」を語らせられた。


「つまり・・・ひろ子ちゃんが俺に似ていたから、お誘いにホイホイ乗ってしまったっていうんだな?」

「はい」

「しかも・・・中学生!その上、マンションで囲ってた・・・。中学生のクセに、生意気!で、俺にムラムラしたらひろ子ちゃんの所に行っていたと・・・。やっぱり、ムカつく!」

「ごめんなさい」

「今頃、怜は・・・。いいなあ~ロックフェラーセンターのツリーの前で写真を撮って年賀状にするらしいぞ。愛されちゃってさあ~幸せ一杯だよなあ~!いいなあ~俺も行きたかったなあ・・・。信ちゃんに俺も連れて行ってくれって言ったら『彰彦くんに言え』って言われた。圭ちゃんが、往復ファーストクラスでプラザホテルに泊まってすごい贅沢な旅だって教えてくれた・・・いいなぁ・・・」

「来年はニューヨークに行こう!なっ!」

「学生のクセに!そこら辺の温泉でいい!」

「じゃあ、温泉!行こう!」

まだ怒ってる。

「じゃあ、今日は?」

「ホテルはキャンセルした・・・」

「帰る!」

再びご機嫌斜めだ。こりゃあ、参ったなあ・・・。正座したまましょんぼりしていると、耳元で可愛いサンタが囁いた。

「ニューヨークに行けなくても、ホテルに泊まれなくても俺は彰彦が大好きだからな!」


その言葉が世界で一番欲しかったプレゼントだよ・・・大貴。

ゆっくりと重なる大貴の唇を受け止めながら真っ直ぐになったご機嫌に感謝し、大貴を押し倒した。


「彰彦、プレゼントを貰ってないぞ」

「ちゃんと用意してるよ。家庭教師のアルバイト頑張ったんだぞ!」

「なに?」

「後でな」

おしゃべりな唇は塞いで、邪魔なスーツは脱がせましょう。

漸く仲直りのキスのお許しを貰い、たっぷりと柔らかい唇を堪能した。白いファーの付いた真っ赤な三角帽が似合ってる。

こんな事ならミニスカサンタ準備すりゃあ良かった・・・来年のお楽しみだな。

*****

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