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『夢見月夜曲』は日高千湖のオリジナルBL小説ブログです。

さしもしらじな萌える思いを・2~『あまりてなどか人の恋しき』番外編

 最近、大貴がハマッているゲームは「ケント・エルディナ戦記」というRPGゲームだ。もちろん俺も同じものを持っている。

主人公は騎士。大国に侵略された故国を救い、行方不明の姫君を探し出して救国の英雄になるという王道のRPGだ。

騎士は攫われたお姫さまを探して冒険の旅に出るわけだが、その仲間は傭兵、魔法使い、僧侶、道化師の中から8人選べる。それぞれに名前を付けて、顔、髪型、髪の色はもちろん目の色や性別を選び、自分好みのパーティを組むのだ。

ちなみに、俺のお気に入りのパーティは騎士、傭兵、魔法使い、僧侶のバランスの良い四人組だ。

それぞれ顔や髪の色を選び、好きな装備品を持たせているわけだが、中でも一番のお気に入りは魔法使いのダイキ。

魔物を倒して稼いだ金で、俺はダイキに一番に装備品を買ってやる。可愛いダイキを死なせるわけにはいかないから、戦闘が始まったら真っ先に僧侶の出番だ。まずは防御呪文をダイキに、そして傭兵にダイキを守らせるのは当然だ。レベルが上がる度に飛び跳ねて喜ぶダイキには、可愛らしい装備品やアイテムを選んで揃えてやってる。

 ある日、俺の部屋のソファーで並んでゲームをしていた大貴は、携帯ゲームを持ったまま寝てしまった。

うとうとする姿が可愛らしくて、このまま押し倒してしまおうと手からそっとゲームを抜き、バトル中の画面を見て、俺は固まった。

大貴の組んだパーティは、騎士・ダイキこれは当然だ。それから、傭兵・シンゴ。まあ納得。魔法使い・レイ。ご丁寧に猫耳とメイド服に可愛いリボン付きの杖を持っていたりする。リボン付きの杖は女の子限定の装備品だから、レイは最初から女の子の設定だった。

問題は四人目。道化師・アキヒコ・・・どうよ!!

戦闘には全くそぐわないフリルがヒラヒラした服に、頭の装備品はおかしな形をしたとんがり帽子だ。

これは確か、東の山の宝箱から出てきた攻撃回避率100%になるという優れ物だったが、こんなキテレツな形の帽子は可愛いダイキには似合わない、という理由で俺のダイキには装備させたくても、出来なかったんだぞ!

それなのに・・・。しかも「アキヒコ」は道化師だ。どう考えても、「アキヒコ」は傭兵か攻撃魔法をガンガン使える魔法使いだろうが!

その上大貴の道化師・アキヒコは、戦闘中にも関わらず地面に座り込み『の』の字を書いている。確かに道化師はレベル50まで育てれば、ハイパー道化師になり、強力な必殺技を繰り出すのは知ってるさ。

ただ、レベル50までは全く使いものにはならない。地面に『の』の字は可愛い方だ。

俺の道化師・ハタナカは、戦闘になると『ハタナカはダッシュで逃げ出した』と表示され、勝手に戦闘から離脱する。バトル中にメンバーチェンジしたわけではないから三人で戦うしかなく、ハタナカの所為で何度全滅の憂き目を見たことか・・・。

したがって、俺の仲間に道化師は存在しない。ハタナカは消去した。

更に、アキヒコの装備をよく見ると、武器は未だに「こん棒」だったのだ。あんまりだろう!?すでに戦闘要員とすら認識されていない現実・・・。


「大貴!」

突然、眠りを妨げられた大貴が慌てて飛び起きた。

「うわぁ!」

「なんだ、これは!どうしてアキヒコは道化師なんだよ!?東の山のキテレツなとんがり帽子を被ってるしさ!」

大貴は、なあんだという顔をした。

「そいつ、戦闘中はいつも地面に字を書いてるんだ。邪魔しないからいいぜ!畑中の道化師もアキヒコっていうんだけどさ、畑中のアキヒコは僧侶が回復呪文で全回復すると、回復した味方を『渾身の一撃』で即死させるんだぜ!それだけじゃない。毎回、何かしら邪魔をするんだってさ。仲間に『足払い』とか『魅惑の投げキッス』とか、『昇天の踊り』とか!酷すぎるだろ?井上の道化師はハタナカっていうんだけどさ、井上のハタナカは戦闘中はずっと踊ってるんだ。『眠りを誘う踊り』と『仲間割れの踊り』が多いって言ってたよ。一番酷いのは『全滅の踊り』でさ、敵、味方どっちに効果が出るかわかんないんだって!井上は『吉と出るか凶と出るかスリルがあっていい』って言ってたけど、井上って懐が深いな!でもさ、道化師の行動パターンっていろいろあって、名前とか性格の設定で差が出ると攻略本に書いてあったけど、ホントなんだな!」


畑中の道化師も「アキヒコ」だあ?畑中のヤツ!明日の朝日は拝めないものと思えよ!!


「消せ!」

「イヤだ!なんでだよ!俺の勝手だろ!?」

「消せ!」

「イヤだ!」

とうとう携帯ゲームの取り合いになり揉み合ううちに、ずいぶん前からセーブしていなかったから洞窟のボス戦はデータがぶっ飛び、2日掛かりでボス戦に突入していた大貴は再び前の町からやり直しとなった。


「彰彦のバカ!せっかく、せっかく・・・俺は・・・自分以外は全員レベル50以上に育てたアキヒコでラスボスに挑むつもりで・・・帰る!!」

「えっ?」

主人公の自分以外は全員アキヒコ?そういえば「道化師・アキヒコ」の後に数字が付いていたような気がする。

 大好きなチョコバーもバニラアイスも、最近お気に入りの蕨餅入りロールケーキも、怒った大貴には通用しなかった。

ヘソを曲げた大貴は、ドタドタと音を立てて螺旋階段を駆け降りた。そして、けたたましい音を立ててお上品で少女趣味な白い玄関ドアを開けて飛び出していった。

螺旋階段を駆け下りた後に「無駄な階段っ!」と、忌々しげに蹴りを入れたのを俺は見逃さなかった。

可愛いっ!可愛過ぎるっ!萌えるっ!


どうせヘソを曲げた大貴にいろいろ言ったって無駄だし、家に着いた頃に電話してみよう。この時、俺は大貴のヘソの曲がり具合を見誤っていた。


 あれから、一週間。

学校で口をきいてくれないのは言うに及ばず、電話はもちろんメールも無視される。有川に手紙を託しても返事はなく、粉々に千切った俺の手紙が返却されてきた。

明日から夏休みなのに!お盆は二人で海辺の別荘に行くつもりだったのに!明後日は花火大会を《イゾルデ》から一緒に見物するはずだったのに!

なのにだ!

やっと家の電話に出た大貴の返事は、ショックだった。立ち直れないくらいショックだった。

「俺、お前のとこの別荘には行かない。カドワキとレイとシンゴでラスボスに挑むから忙しいし。ついでにじいちゃんたちと箱根の温泉に行く。お前と会うと温泉には入れないくらいいろいろされるから、会わないし。じゃ」


カドワキ!カドワキだと!?

カドワキは何なのだ!傭兵か僧侶か!?それとも魔法使いか!?

すぐに、大貴の家に行きエントランスで部屋の番号を呼び出すが、大貴は居留守を決め込んで出て来やしない。


俺の薔薇色の夏休みが・・・。


「どうした?彰彦くん!」

呆然とする俺の肩を叩いたのは、大貴の兄・和貴さんだった。

「ちょっと、大貴と・・・」

「ケンカ!?ついておいでよ。明後日が信ちゃんの店で花火大会見物だから帰って来たんだよ」

和貴さんの後ろには背の高い目元の涼やかなカッコいい男性が立っていた。

「こいつは佐伯博敏、大学の友人」

「よろしく、彰彦くん」

「寺田です。よろしくお願いします」

この人は確か・・・。大貴にいいお土産が出来たぞ!


 三人で部屋に行き、和貴さんに頼んで大貴に部屋の鍵を開けさせた。

「うわっ!お前、卑怯だぞ!」

「なにが卑怯だよ!なんだよ、カドワキとラスボスだあ!?絶対に許さん!」

「意味がわかりません!!出て行け!じいちゃんたちと温泉に行くんだから、出て行け!」

もう、後は押し倒してしまえ!強引に腕を取りベッドに身体を投げ出した。

「放せ!にいさん!助けて!」

「来ないよ、来るわけないじゃん」

大貴はジタバタと可愛い抵抗を続けるが、力で俺に適うわけがない。首筋に噛み付いて耳元で「好きだよ」と息を吹きかける。

「あぁっ!やめろ!にいさんいるだろ!」

声が甘くなる。

ポカポカと殴る腕も、蹴りを入れようと暴れる足も可愛い。本当は手を拘束したいところだったが、いろいろ思い出すとイヤだから放置する。Tシャツを捲り肌に舌を這わせ、胸の尖りを口に含みコロコロと転がし強めに吸ってやると、大貴の声に色が含まれる。

「ああんっ、やだっ・・・やめ・・はあっ」

「カドワキはなんだ?ん?」

「カドワキは、僧、侶・・あああっ!」


クソッ!俺が道化師でカドワキが僧侶だあ!?

もう、隣に和貴さんが居ようが関係なかった。僅かに抵抗を続ける大貴を無視して、主張し始めた大貴自身を口に含み思いっきり吸い、舐め上げた。



「別荘は誰と、どこに行くんだ?」

「彰・・・彦」

「ん?」

大貴の感じる所を集中して擦る。

「ヤダ・・・声出るから、やめ・・・にい、さん、いるの・・・に」

「俺が抱いてるのに、他の男のこと考えるな」

「やっ、にいさん、だろ」

声を気にする大貴は行為に集中出来ないようだった。大貴をうつ伏せて枕に顔を埋められるようにし、さらに腰を打ちつけるスピードを上げる。隣の微かな気配に、和貴さんの喘ぎ声が混じっているのには大貴は気付いていないようだ。

「大丈夫、お隣さんも始めてるよ」

「ええっ!」

キュッと締まる後孔に、俺も限界だった。

一週間ぶりに触れる大貴は敏感で、触れた所全てに声を上げ、抑えられないようだった。俺だって一週間もの間、キスはおろか肌に触れる事も出来ずに大貴不足で、息絶えそうだったんだ。

「イクよ、大貴!」

「あんっ、彰彦、待っ、て」



「水・・・水!」

「はい、はい」

「『はい』は一回だ!さっさと、取りに行きやがれ!」

お行儀の悪い足が空振りし、忌々し気に俺を睨み付ける大貴。

「水!ついでにチョコバー!」

大貴はプイッと横を向き、枕に顔を埋めた。

「かあさんが帰ってきたら、どうするつもりだったんだよ!」

泣きそうな大貴の髪にチュッとすると、邪険に振り払われた。


 クスクス笑いながら部屋を出て、リビングに行くと佐伯さんがタバコを燻らせていた。

「やあ!高校生は昼間っから激しいな」

「そちらさまも」

クスクス笑うと佐伯さんは、「あはははっ」と豪快に笑った。

「聞こえていたか!」

「ええ」

俺も笑いながら、大貴の注文品の水とチョコバーを取り出す。

「和貴さんとはいつから?」

彼らの関係は知ってはいたが、敢えて尋ねた。

「ああ、高校の時から。和貴がモデルのバイトしてたの知ってる?」

「はい」

「俺も『田原プロ』にいたんだ。俺の一目惚れ。君の事は和貴から聞いてる。前から、そのうち大貴くんとくっ付くだろう、と言っていたよ」

否定も肯定もなく口元だけで笑って「大貴が待ってますから」と、リビングを出た。和貴さんは、すでにお見通しだったんだな。部屋に戻ると大貴はベッドに座りむくれていた。

「遅いよ!さっさと持って来いって言っただろ!」

悪態を吐く可愛い唇を塞ぎ、胸の尖りを指で刺激する。

「ん、ん、んんっ、う、んっ」

背中を叩く大貴の可愛い抵抗にも萌える。

「いい加減にしろよ!」

頬を赤く染めた顔を背けながら、文句を言う様子が可愛いすぎる。

「水!チョコバー!溶けるから早く寄越せ!」

「さっきは彰彦~って、可愛かったんだけどなあ」

チョコバーに噛り付き、俺にペットボトルの蓋を開けさせる大貴。

「何か言ったか?じいちゃんと別荘に行けないじゃないか!こんなに痕付けやがって!」

「はあ?別荘は俺んちの別荘に俺と行くんだよ、温泉もある」

「じいちゃんに車を買ってもらおうと思ってたのに・・・」

「そんなことより・・・カドワキだ!カドワキを連れてラスボス戦はダメだ!」

大貴はぷうっと頬を膨らませた。

「ちゃんとアキヒコ1号から3号まで連れて行くよ。ハイパー道化師になったんだぞ」

俺が、思わず抱き締めて「愛してる」と囁いたのは言うまでもない。


大貴のこういうところに、萌えるのだ。

結局、花火大会は一緒に見物し、別荘はうちの別荘に強引に引き摺って行った。四日間、大貴は服を着る暇などなくベッドで過ごし、帰り際には絶交を言い渡された。


こういうところも、萌える。

大好きな大貴の一言に、ちょっとした仕草に、行動に、一生萌え続けるんだろうな、俺は。


*****

ご訪問ありがとうございます!ごゆっくりお過ごしくださいませ!

「あまりてなどか人の恋しき」3~4話に出てきた大貴の兄・和貴の秘密をチラッと・・・♪

最初に出てきたRPG「ケント・エルディナ戦記」とは、かなり昔に日高が途中まで書いて挫折したファンタジー小説のなれの果てです(笑)

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