皆さん、こんばんは~♪おいおい、どうした~?と思いながら読んで下さい(笑)
【津枝の呟き】
皆さん、こんばんはっ!津枝っす。
敬治さん付きの津枝っす。敬治さんのご機嫌も体調も良く、ついでに若のご機嫌も麗しく、良い事ばっかです。
先日、敬治さんが「運転免許を取りたい」と言い出されまして・・・。
「免許?必要ねえだろ?」
ええ、俺もそう思います。
親父さんにレクサスを買ってもらったから、敬治さんは自分で運転したくてたまらないんすよ。でも大川さんほどじゃないが運転の上手い若い衆がいるし、敬治さんに免許が必要だとは思えないんすよね。
「でも、みんな持ってるし。文ちゃんも取ったんだよ?ほら!免許があれば自分で運転して文ちゃんに会いに行けるでしょう?」
敬治さん、まっ、眩しいっす!その笑顔に撃ち抜かれて若は、完全に骨抜きっすよ!
「運転手がいるだろうが」
あれ?二つ返事でOKだと思ったんだけど・・・急に若の機嫌が悪くなった。よし!子分の俺としては、ここは何としてでも若の味方をして点数を稼がなければっ!
「そうですよ!敬治さんが運転する必要はありませんよ」
「えーっ!だって、津枝くんだって持ってるんでしょう?」
「持ってますよ!」
俺は自慢げにポケットから運転免許証を取り出して見せた。
「ほら!これです!いや~苦労したっすよ!学科に3回落ちたんすよ、俺」
若がポツリと「アホだな」と呟いた。いやもう、アホでも何でも結構です。若は嫌そうな顔をしながら俺の免許証を取り上げた。そしてジッと見ているが、なぜか眉間に皺が寄った。
「なんだ、これは?」
「えっ?」
「なんだ、って・・・免許証ですよ!よーく見てくださいよ?」
無事故無違反、そのうちゴールドカードだ。
「お前、この顔・・・変だぞ」
「変?」
「変だ」
「そうっすか?」
若は眉根に皺を寄せて汚らしい物を持つかのように、免許証の端っこを持っている。えっ?汚れてませんけど?そして、それを敬治さんが横からジッと見ている。
「変だね」
「えっ?」
敬治さんが気の毒そうな顔をして俺を見た。
「あの~どこが変ですか?」
「頭?」
「髪型っすか?」
「うん」
「違う。顔だ、顔!見てみろ。元々敬治の隣にいると霞んで消えてしまいそうなくらい存在感がないのに、この写真はどうだ?Vシネマの観過ぎなんだよ、お前は」
若、酷いっすよ。そりゃ、若はどこからどう見ても文句の付けようのないくらいの美男子で、敬治さんは一目見たら忘れられないくらいの美人さんです。だからって、敬治さんと比べるなんて・・・。
「・・・すんません」
免許の更新に行った時は、俺が一番ハジケていた頃だった。左右の耳の上に剃り込みを入れぶっ飛んだ金髪だ。その上警察は親の仇にも等しい存在だと思っているから、カメラを思いっきり睨み付けている。
それに免許証の写真は誰でも写りが悪いのだ。俺だけじゃないはず。まあ、Vシネマはよく観てるけどさ・・・。でもあれはどっちかと言うと槌屋補佐の趣味で、俺らは無理矢理観せられてるというか・・・。
「このジャンパー、品がない。それに眉間に皺を寄せ過ぎだろう?誰を睨んでんだ?お前。見っとも無いから写真だけ変えてもらえ」
若は俺のお気に入りの真っ赤なスカジャンが気に入らないのだ。俺と敬治さんがお揃いのスカジャンを色違いで持っているとわかってから、スカジャンは目の仇にされている。
「若。そんなの無理っすよ」
俺がそう言うと、若は「ふん」と鼻で笑った。
「槌屋」
「はい」
「辰川さんに頼めば何とかなんだろ、これくらい」
「電話しますか?」
「槌屋も見てみろ。酷いもんだぞ」
俺の免許証は槌屋補佐の手に渡った。お願いします、返して下さい。
「これは・・・全国指名手配犯レベルですね」
そんなに悪い事はしてませんって!絶対に槌屋補佐の方が悪い人に見えますって!絶対に何人か殺してそうですもん!
「だろ?『ボクは悪い事をしています。おまわりさん、捕まえて下さい』と言ってるようなもんだぞ、これは。お前がしょっちゅう職質受けるわけがわかったよ」
「ええ、おっしゃるとおりです」
「すんません」
出たよ。槌屋補佐はイエスマンだからな・・・。槌屋補佐は気の毒そうに俺を見た。いやいや、俺的にはその写真、イケてるんすよ!
「今度の更新の時はちゃんとスーツで行けよ?」
「はい」
「スーツは俺が買ってやるから」
「ありがとうございます!」
気前は良いけど辛辣過ぎますよ、若。
「運転免許証の写真は写りが悪いと評判が悪いですが、これは酷いですね」
槌屋補佐、フォローになってないっす。
「すんません」
若は俺の顔をジーッと見つめた。
「槌屋、やっぱり電話はしなくてもいい。俺が2度とこれを見なければ良いんだからな。津枝の免許証ごときで辰川さんに恩を売られちゃ困るからな」
「おっしゃるとおりで」
結局、落ち着くところはそこかーい!
「酷ーい!」
2人の会話を聞いていた敬治さんが急に口を出した。敬治さん、お願いですから俺の写真をケチョンケチョンにけなしてくださいっ!
「何が酷いんだ、敬治」
「散々バカにして!こういうふうに写るのがカッコいいんでしょう?ねっ?津枝くん?」
「は、はい」
若の視線が巡ってきた。物凄ーく怖い顔をしている。敬治さん、お願いですから若以外に「カッコいい」とか使わないでくださいっ!
「じゃあ、若のを見せてよ」
「俺の免許証?槌屋」
「はっ」
へっ?若、免許証も自分で持ってないんですか?
「こちらです」
槌屋補佐は大事な家宝を見せるかのように、恭しく若の免許証を出して見せた。
「うわっ・・・カッコいい」
「そうか?」
若、鼻の下伸び切ってますよ。
「うん。モデルさんみたいだ!」
敬治さんの嬉しそうな声。ああ、これで若のご機嫌も良くなるに違いない。
「見て!津枝くん」
「はいっ。ありがとうございます!拝見させて頂きます」
えっ・・・これ、絶対に普通に撮ってないよな?
若の免許証の写真は、明らかに特別にライトが当てられたとしか思えない出来だったのだ。まるで俳優の宣伝用の写真のような仕上がりだ。
「なんだ?津枝」
「いえ・・・その・・・カッコいいです」
「そうか?俺が直接更新に行くと面倒を起こすとでも思ったのか、特別に写真を持ってくれば更新してやると言うんでな。プロに撮ってもらったんだ」
「そ、そうですか。さすがは若ですね!」
「今度はお前もまともに写してもらえよ?」
「はいっ!勉強になります」
全く参考にはなりませんけどね。
【牧野の愚痴】
「ま~きのっ」
並木親資はかなり面倒な男だ。うちのへそ曲がり社長を懐かせただけあって、かなりの変人だ。
普通さ、本物のヤクザに向かってソファーの背から振り返ってお笑い芸人の真似をして声を掛けてくるか?そんな事をやれるのは、並木くらいのもんだろう。
まあ、河野の若頭相手にも怯まない所は見上げたもんだがな。
俺はチラリと飯坂社長をチラリと見てから返事をした。
「・・・何か、ご用でしょうか?」
案の定、社長は並木が口を開く前にムスッとして俺を呼んだ。
「牧野」
「はい」
「こいつに敬語を使うな。好い気になるだけだから」
「はい、社長」
「そうそう!俺に気を遣わないでくれよ。普通でいいから」
いや、普通でいいとわかってるさ。あんたが呼ぶからだろうが。
「お前が牧野を呼び捨てにするからだろうが?」
社長、ありがとう。もう少し強く言ってやってくれ。
「あーっ、ごめん。だってさ、牧野とか!ドンピシャじゃないか?」
軽く「ごめん」で終わっちまうからな、並木のヤツ。全く、俺もナメられたもんだ。
「もう、そんな事はどうでもいいから、用件は何だよ?早く言えよ」
おい、社長。並木の用件を聞いてやらなきゃいかんのかい?
「ああ、そうだった。牧野さんは肉と魚、どっちが好きなの?」
「えっ?」
「肉と魚。食うならどっち?」
並木は真面目な顔で聞いた。あんたが昼飯でも食わせてくれるんですか?
「そうっすね・・・肉の方が好きです」
そう答えた瞬間、社長が俺を睨み付けた。しまった・・・。
「牧野」
「はい」
「そうっすね、とか言わない」
「はい。すみません」
「智也、横からチャチャ入れないでくれないか?」
「はあ?牧野は俺の部下だ。俺の言う事しか聞かないの」
「俺は?」
暢気な並木は自分を指差して聞いた。
「お前は部外者」
「関係者にして欲しい」
出たよ、駄々っ子。だが社長は、こういう並木も嫌いじゃない。
「出て行け」
うわっ・・・その「出て行け」が甘いんだよ。俺からみれば、もはやじゃれ合ってるとしか思えないんですよね。
「やだ。ここ、俺の部屋だし。大体さ、デートなのに牧野さんを連れてくるか?下には高井くんが待ってるんだろ?」
「これはオマケ。気にするな」
えっ?デート?
これってデートですかね?いや、おうちデートなのか・・・。
確かに社長は立場上、外で気軽にデートは出来ない。決して目立たないが、今や河野組の最重要人物だ。いつ、何が起こるかわからない。しかもこの人、他の組長さん方のように護衛を引き連れて移動しない。パターン的に一番狙われてしまうタイプだ。
でもって並木の部屋で会う事が多いんだが。そうか、やっぱりデートだよな。
「気にならない方がおかしいよ!」
「空気だ」
「えーっ!牧野さんデカイし!俺は今すぐキスしたいのに、部屋にいるし!」
「・・・ばっ」
社長が赤くなった。結構、可愛い所もあるじゃないか。
「ともちん、赤くなってるよ?」
やめろ、並木。社長がますます赤くなったじゃないか!
「今、俺の店の近辺を嗅ぎ回ってるヤツらがいるんだよ。だから牧野が離れてくれないんだよ!」
「すみません。若と親父さんからも絶対に目を離すなと言われておりますんで」
「ほら、仕方がないだろ?」
「ともちん、可愛い。ハグしたい」
並木、やめてくれ。想像してしまうだろうが・・・。
「牧野」
「は、はい」
「お前、こいつを縛って玄関に放って来い。俺は仕事が残ってるから」
社長は恥ずかしすぎたのか、持ってきたバッグの中からノートパソコンを取り出した。
「はい」
俺はボキッと指を鳴らしながら並木に近付く。
「待って!ごめん!縛るのはベッドだけにして」
ヘラヘラ笑いやがって。
「牧野。縛って東京湾に投げ入れろ」
「勘弁してよ~っ。ヤクザごっこは勘弁して~っ」
まだふざけてやがる。並木の野郎、少しは痛い目に遭わせないとわからねえな?
「牧野。ヤクザはお遊びじゃないと思い知らせてやれ」
「はい」
俺は今日こそ本物のヤクザってやつを見せ付けてやろうと、睨みを利かせながら並木に近付いた。だが、並木は笑いながらソファーにしがみ付き、「やだ~ともちん!助けて~!」と声を上げた。
「牧野、さっさとやれ」
「はい。覚悟しろよ、並木」
「あれ~助けて~」
俺の本気の気合も全くものともせずに、並木はソファーに足を上げ、しがみ付いて笑っている。
「バーカ」
社長は赤く染めた頬を隠すかのようにパソコンに向かった。
「待て!待て!わかった!ごめん、ごめん!」
漸く俺の迫力が伝わったか?
「あー、面白かった」
「はあ?」
「牧野さんって、マジで可愛いね」
「・・・可愛い?」
「うん。可愛い」
「社長、マジで東京湾に放り込みますけど、いいですか?」
「勝手にしろ」
「あははっ。直腸検査やらせて!」
「ちょ、ふざけんなよ!このガキ!黙って聞いてりゃ好い気になりやがって!」
「ごめん、ごめん!あははっ。智也、言葉遣いは注意しないのか?」
「はあ?」
社長は顔を上げると、一旦俺を見たがすぐに目を逸らせた。
「牧野」
「はい」
「素人さん相手にマジになるな」
「えっ?」
「だから!並木は素人さんだから、大目に見てやってくれ」
「・・・は、はい」
「牧野さん」
「何かご用でしょうか?」
「デパ地下で全国ブランド肉フェスタやってるの。この弁当、買って来てくれない?」
「はあ?」
並木はデパートのチラシを指差した。
「30個限定の松坂牛のローストビーフ丼は絶対に欲しいんだよな」
チラシには全国各地のブランド牛を使った弁当が載っていた。それらに付けられた赤い丸は全部で8つ。今、午前9時30分。果たして限定品に間に合うのか?
「8個も弁当を買うんですか?」
「ああ。高井くんも呼んでさ、ここでみんなで食おうよ」
「えっ?じゃあ、さっきの」
「ああ。君が魚と言ったらこっちだったんだけどね」
並木はもう一枚チラシを取り出した。本日限り100個限定、というチラシは銀座の有名な寿司屋のお持ち帰り専用海鮮ちらし寿司だ。
「じゃ・・・行ってきます」
「お願いね!そうそう!俺とともちん、今からベッドへGOだから最低でも3時間はここには入れないからね!」
「並木っ!」
「じゃ~ね~!」
強引に握らされた並木の財布を握り締めて、俺は部屋を後にした。
*****
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津枝君、相変わらず大変な毎日ですね(^ ^;)
また敬ちゃんが天然さんというか、気が付かないもんだから、
若のご機嫌がくるくる変わって、それにつられて槌屋さんも変わるしで
下っ端構成員は振り回されっぱなしですねぇww
文ちゃんは免許を取ったのね。
だったらやっぱり敬ちゃんも取りたいよねぇ。
文ちゃんにも会いたいだろうし。
そういえば、文ちゃんにもそろそろ誰か良い人を見つけてあげてほしいなぁ~
日高様、お願いしますm(_ _)m
文ちゃんに素敵な旦那さんを~~~
ともちんとちかちゃんも相変わらずのラブラブでイイ感じ♪
みんなでお弁当だなんて、なんともほのぼのしてますねぇ~
デートに付き合わされる部下たちはいい迷惑でしょうけどww
微笑ましいエピソード、読んでいてほっこりしました。
今度は敬ちゃんの初ドライブとか、見てみたいです~(≧∇≦)
わーい♪読んで下さっていたんですねっ!嬉しいです~♪ありがとうございます!!
並木的には仲間になりたいわけじゃないけど、壁は作って欲しくないんだと思うんですよね。まあ、彼の性格からして普通のアプローチはしないんじゃないかと(笑)笑って頂けて良かったです!
拍手&コメントありがとうございました!
お忙しい中コメントありがとうございます!!
> 津枝君、相変わらず大変な毎日ですね(^ ^;)
> また敬ちゃんが天然さんというか、気が付かないもんだから、
> 若のご機嫌がくるくる変わって、それにつられて槌屋さんも変わるしで
> 下っ端構成員は振り回されっぱなしですねぇww
そうなんですよね~彼の場合一番下っ端ってわけではないんでしょうが、何しろ槌屋やら大川やらがいますからね。彼らのご機嫌を窺いつつ、若と敬治にお仕えしなければならないという大変な立場ですwww
> 文ちゃんは免許を取ったのね。
> だったらやっぱり敬ちゃんも取りたいよねぇ。
> 文ちゃんにも会いたいだろうし。
> そういえば、文ちゃんにもそろそろ誰か良い人を見つけてあげてほしいなぁ~
> 日高様、お願いしますm(_ _)m
> 文ちゃんに素敵な旦那さんを~~~
ありがとうございます。文ちゃんはすでにカテゴリー見て頂ければわかりますけど『恋文』というのが上がってます。←おい
そのうちですね。今UPしてるのが終われば次は文ちゃんですよ~。
> ともちんとちかちゃんも相変わらずのラブラブでイイ感じ♪
> みんなでお弁当だなんて、なんともほのぼのしてますねぇ~
> デートに付き合わされる部下たちはいい迷惑でしょうけどww
ともちかコンビはお部屋デートです。なんだかんだ言っててもともちんはちかちゃんに惚れてるんでしょうね。ちょっと拙い状況なら会わなきゃいいのに、わざわざ牧野&高井付きで部屋にやって来るわけですから(笑)
> 微笑ましいエピソード、読んでいてほっこりしました。
> 今度は敬ちゃんの初ドライブとか、見てみたいです~(≧∇≦)
そうですね、敬ちゃんのドライブか・・・。前後左右を護衛の車で固めさせて、大事になりそうですね(笑)
コメントありがとうございました!
文ちゃんに応援ありがとうございます!
素敵な彼氏かどうかはわかりませんが、「文ちゃんらしい」雰囲気で書かせて頂いてます。
「恋文」はいわゆるラブレターでもあり「文樹」の「文」でもあり、です。
タイトルがありふれてるので大丈夫かな~と思いつつ、これしかないって感じで(笑)
もうすぐUP始めますので、お待ち頂ければ幸いです。
拍手&コメントありがとうございました!