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『夢見月夜曲』は日高千湖のオリジナルBL小説ブログです。

ミスターK、『S-five』を語る。1

60万HITキリ番リクエストです。(ブログのカウンターは一人一日一回しか回せないように設定していますが、「キリ番見たよ」のご報告は毎回重複します。今回は日高も含めて4人でした!)

本日はaさまよりのリクエストです♪「『S-five』の恋愛事情を語る」と、「章太郎と隼人で学生時代を語る」のどちらかで、とのことでした。がっ!今のところ、ぶちまけるような恋愛事情がないんですよね(笑)皆さん、平穏無事。

章太郎と隼人の学生時代のヤンチャっぷりというのも女絡みばかりですからね。迷いましたが・・・いたじゃん、適任者!!

というわけで舞台は8月10日、恒例の花火大会です。ですが"ミスターK"の過去から話は始まります。では、どうぞ!!



【ミスターK、『S-five』を語る。】 


「少しだけお時間を頂けませんか?」

仕事帰りに声を掛けてきた『S-five』という会社の人は、そんじょそこらではお目に掛かれないようなイケメンだった。彼は繁華街の裏通りではなく、間違いなく華やかな舞台の上が似合う人間だ。

油で汚れた換気扇や積まれたビール箱とは縁がないに違いない。夜中だというのに爽やかな笑顔。それ、美人に見せるやつでしょう?

この時間ともなればどんなイケメンでも顔がテカるんだが、彼の顔面には汗すらない。汗腺ないのかよ?

「えっ?」

「今の労働条件に満足していますか?」

満足しているわけがないじゃないか。俺はしがない、バーの雇われ店長だ。狭い路地裏には誰かの吐瀉物や吐き捨てた痰が散らばり、お世辞にも綺麗な場所とは言えない。

そこに現れた三木という人は、上質なオーダーメイドのスーツに落ち着いたシルクのネクタイ。高級な舶来時計にピカピカの靴。それらをさらりと着こなして、嫌味なんか一切感じない。

まさに「掃き溜めに鶴」だった。

 大手居酒屋チェーン店に勤務していたが、本部との折り合いが悪くて辞めた。それが半年前だ。

どうでもいいような用事でラインのスタンプで休みを伝えるアルバイト生。いや、スタンプが来るだけまだマシだ。ある日、突然飛んでしまうフリーター。

売り上げ目標に届かないから、という理由で無茶なペナルティを課す上司。

俺が店長になって4年間、有給休暇をとっていないが"とった事"にしてある。残業は毎日2、3時間やってるのに、給与明細には「残業10時間」とかアホな計算だし。

定休日もまともに休んだ事はない。定休日には、店の改修や補修が行われ業者が入る。それを監督する為に休日返上で出勤しても手当てはなし。

客からのクレーム処理に、ノルマ、ノルマと煩い上司への対応・・・やってられないんだよ。ってことで退社して、現在バーでアルバイト中だ。一応「店長」として店を任されているが、先行きは暗い。

 そんな時に掛けられた言葉は、インチキ商法の誘い文句まがいにしか聞こえなかったさ。俺はネズミ講か、ヤバイ商売への誘いか、と疑いながらも目の前のイケメンから目が離せなかった。

「満足?してませんけど」

「そう!良かった。考えてみませんか?」 

「えっ?」

「転職」

いやいや、ブラック企業に違いない。基本給5万であとは全て歩合制、とか言うんだろ?

「転職?俺が、ですか?」

三木さんは俺の懐疑的な目にも、一切怯む事はない。

「ええ」

キリリとした眉。意思の強さを物語るようなくっきりとした瞳。厚めの唇に色気があって、女なら一撃だ。

「我が社は飲食店を中心に経営しております。会社は大きくはないのですが、働きやすいと思いますよ。一緒に働きませんか?」

「あの」

「一杯、いかがですか?飲みながら話しを聞いて頂けませんか?」

彼の顔には見覚えがあった。確か、バーに来た事がある。その時に「営業時間は何時までですか?」と尋ねられた記憶があった。

「あなた、数日前にご来店くださいましたよね?」

「覚えててくださったんですか?光栄だな」

っていうか、俺の方が光栄だよ。この人、俺の帰りを待ってたって事だよな?

「じゃあ、お話しだけ」

「ありがとうございます」

こうして俺は『S-five』の三木と名乗る人と共に、開いていたバーに入ったのだ。まさに一本釣りされたね。


 彼は顔だけでなく、気持ちもイケメンなのかな?深夜だと言うのに彼は清々しい。

「今日のところは話を聞いてくださるだけで結構ですから。もちろん、気に入らなければ断ってくださって構いませんから。これ、一応ね、渡しておきます。うちの従業員の30代前半の基本給ね。それから、これが福利厚生ってやつ。もちろんホールチーフ以上から役職手当も付きますからね。賞与は基本的に3ヵ月分だけど、担当した店の売り上げによっては賞与もアップしますよ。もちろん保険も年金も加入してますからご安心ください。持ち株会もお勧めですよ。皆、毎月積立貯金みたいな感覚で自社株を買うんですけど、退職する時に売って開業資金にする者もいます。条件は悪くないと思うよ。支度金は俺の一存だけど、今のところ2本までなら出せる」

「支度金?」

三木という人は、微笑みながら手入れの行き届いた人指し指と中指の2本を立てて示した。

「2万円ですか?」

「はあ?2本だよ、2本」

「つまり」

「200」

この俺に200万も出してくれる所があるんだ。その瞬間、俺の心は大きく『S-five』へと傾いた。この際ブラック企業でも良いじゃないか。

「それから、うちは不動産もやってるんですよ。我が社が運営するマンションもしくはうちの不動産会社が管理させてもらっている部屋に引っ越すなら、家賃の半額を社で負担します。ついでに長く勤務してくれれば、それに応じて家賃は更に安くなるシステムね。今の所でもOKなら、家賃の30%は社が負担します。それから、どうしても夜が遅くなるんだよね。電車やバスがなくなった時はタクシー代は社で負担。車なら駐車場は準備するし、通勤手当にガソリン代と首都高代は上乗せね。それから」

「すみません」

「なにか聞きたいこと、ある?」

「あります」

「どうぞ」

「私はいつから勤務出来ますか?」

三木さんはニコリとした。俺からOKを引き出す自信があったんだな。

「明日からでも」

「ありがとうございます」

俺の転職はあっさりと決まった。翌日、バーを辞めた俺はオーナーの慰留には耳をかさずに『S-five』本社に向かった。


 最初に場違いだ、と思った。確実に間違った、と。

俺の前に座っている山下常務という人は、たおやかな菖蒲の花のような人だった。凛として、何とも芳しい人だ。

「コーヒーで良いですか?」

「はい」

スッと伸びてきた手の動きの優雅さに見惚れてると、昨日俺をハンティングした三木さんがやって来て「ありがとう!小鳥居くん」と言いながら俺をハグした。

「うわっ」

背中をバンバンと何度か叩かれ、「あれ?嫌だった?」と聞いた。

「いえ」

「ごめんね、うちはみんなこうだから。慣れて」

慣れて、って。

「はい」

山下常務がクスリと笑った。

「小鳥居佑さんだ。どう?山下くん」

「良いんじゃないの?研修先は?」

「黒川」

「ああ。あいつに来いと言うと文句を言うから、俺が連れて行こうか」

「そうしてくれると助かるよ」

「じゃあ、行こうか?」

「はい」

こうして俺は《花宴》という、和食の店に連れて行かれた。

 《花宴》の黒川嘉美店長は、はっきり言うと底が知れない。

黒川店長はそこに立っているだけで絵になる。表情はあまり変えないが、山下常務には心許しているようで彼の気を惹きたいのが伝わってくる。

 スタッフには、そりゃあもう厳しい。研修に入った俺が一番に指摘されたのは、何年も着ている年季の入ったスーツと安物の靴だ。

「支度金はもらったのか?」

「まだ頂いておりません」

「そう。店で立て替えておくからスーツを3着とシャツ、ネクタイに靴。カフスとネクタイピン。全て揃えて来い。研修はそれからだ」

「・・・はい」

「スーツはスリーピースだからな」

黒川店長は事務所の奥から帯封が付いたままの1万円札の束を持ってきて、「キャラメルやるよ」的なノリで俺に手渡した。

「今から、ですか?」

「『NMW』には電話しておくから。パターンオーダーなら時間も掛からないからな。まずは3着だ。車か?」

「いいえ」

『NMW』だと?『紳士服の●●』じゃいけないのか?

「じゃあ、俺の使う?」

黒川店長は車のキーを放った。スマートキーが宙を舞う。俺の手に着地したシャンという音が、スタートの合図だった。

「行って来い」

黒川店長は、これ以上話す事などない、といった表情でパソコンを操作し始めた。

「しかし」

「何の為の支度金だと思ってんだよ?うちの店は基本的にスーツだからな。今後は年に2回、補助が出るから心配するな」

無茶苦茶だろ?昨日まで小さなバーの店長をしていた俺に、オーダーメイドの老舗『NMW』へ行けだと?

だが、この人は自分が言った事を1度で理解しないやつは大嫌い、だ。何度も同じ事を言わせるヤツとは仕事はしない、くらいの信念がある。

「では、行ってきます」

「ごゆっくり」

こうして俺は、人生初のオーダーメイドスーツというものに袖を通したのだった。

*****

ご訪問ありがとうございます!ごゆっくりお過ごしくださいませ!

タイトルの「ミスターKって誰よ?」と思いましたか?小鳥居くんですよ、小鳥居くん!『S-five』にまだ馴染めてない初々しい人。いたじゃん、適任者っ!というわけで、飛び付いた日高でした(笑)彼、今一つ掴み所のない人だったと思うんですが、こういう人です(笑)←はあ?

aさま、こんな感じで良かったでしょうか?

続きます。よろしくお願い致します。

   日高千湖

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ありがとうございました!
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コメント
なんとっ
小鳥居くんっ!!
なんとなんと、彼にはこんな経緯があったのですね。
っていうか、こういう人だったんだ。

S-fiveは日本には珍しいホワイト中のホワイトな会社ですね。
支度金まで出してくれるなんて。
小鳥居君、よかったねぇ・・・たとえ黒川氏の元で修業することになっても(笑)
これまでの激ブラックな環境とは雲泥の差でしょうね。

小鳥居君視点のお話、面白いです。
彼はミステリアスだったから、本性が垣間見えるのはいいですね~(^m^ )クスッ
2018/08/09(木) 01:30 | URL | にゃあ #-[ 編集]
ごめんなさい!
日高様ごめんなさい!
私も何度読んでも
「今一つ掴み所のない人」と^^;
読解力の無さ故かと諦めておりましたが、
日高様にそう言って頂き、安心致しました笑
小鳥居=ミスターKに「えええ―――っ」と大変驚いております!
良かった良かった人間臭さあるじゃないと♡
楽しみが増えました٩(♡ε♡ )۶
2018/08/09(木) 01:39 | URL | しずな #Bqlxldsc[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/08/09(木) 01:46 | | #[ 編集]
Re: にゃあさま~いらっしゃいませ♪
にゃあさま~いらっしゃいませ♪

> 小鳥居くんっ!!
> なんとなんと、彼にはこんな経緯があったのですね。
> っていうか、こういう人だったんだ。

そうなんです。黒川のお気に入りになるだけの事はあるかと・・・。

> S-fiveは日本には珍しいホワイト中のホワイトな会社ですね。
> 支度金まで出してくれるなんて。
> 小鳥居君、よかったねぇ・・・たとえ黒川氏の元で修業することになっても(笑)
> これまでの激ブラックな環境とは雲泥の差でしょうね。

いや、ブラックかもですよ(笑)小さい会社の割にはちゃんとしてます。それも本社ビルを構えてからでしょうけどね。

> 小鳥居君視点のお話、面白いです。
> 彼はミステリアスだったから、本性が垣間見えるのはいいですね~(^m^ )クスッ

彼の人間性のようなものは全くゼロな感じで書いてましたからね。色々と物色したんですが、リクエストに合うような状況が見つからずwww書きかけの記事とか探していたら、いたんですよ!ミスターK(笑)

多分4、5話だと思います。お付き合いくださいね~!コメントありがとうございました!
2018/08/09(木) 06:58 | URL | 日高千湖 #-[ 編集]
Re: しずなさま~いらっしゃいませ♪
しずなさま~お久し振りです♪いらっしゃいませ♪

> 日高様ごめんなさい!
> 私も何度読んでも
> 「今一つ掴み所のない人」と^^;
> 読解力の無さ故かと諦めておりましたが、
> 日高様にそう言って頂き、安心致しました笑

いえいえ!変人・圭介が「変なヤツ」と言うくらいわからない人、という設定で書いていましたから、小鳥居は理解できなかったかと思います。

お花畑に種を撒いた覚えのない花が咲きました、的な(笑)

> 小鳥居=ミスターKに「えええ―――っ」と大変驚いております!
> 良かった良かった人間臭さあるじゃないと♡
> 楽しみが増えました٩(♡ε♡ )۶

ありがとうございます!彼は案外色々と考えているようですよ。しばらく続きますが、よろしくお付き合いくださいませ。

楽しみと言って頂けて嬉しいです♪

暑い日が続いておりますが、ご自愛くださいませね。またお気軽にお顔を出してくださいね!コメントありがとうございました!
2018/08/09(木) 07:04 | URL | 日高千湖 #-[ 編集]
Re: 鍵コメ・Iさま~いらっしゃいませ♪
鍵コメ・Iさま~いらっしゃいませ♪

ミスターKで皆さまにこれ程盛り上がって頂けるとは思いませんでした(笑)

つかみ所のない人物、小鳥居佑くん。意外と普通に一癖も二癖もある連中を受け止めておりますが、ここまで黒川と圭介を把握してしまうというのはさすが200万の男です。

しばらくお付き合いくださいませ!台風は大丈夫でしたか?走り屋Hくんも楽しみにしてまーす!

コメントありがとうございました!
2018/08/09(木) 07:16 | URL | 日高千湖 #-[ 編集]
拍手コメ・れいさま~いらっしゃいませ♪
れいさま~いらっしゃいませ♪

小鳥居が気になっておられたのですね!ありがとうございます♪

皆さまに沸いて頂けて良かったでーす!
1話では書ききれなくて、下書きが4、5話分はあるかな?出来れば5話以内で、と思ってます。

しばらくお付き合いくださいませ。拍手&コメントありがとうございました!
2018/08/09(木) 07:21 | URL | 日高千湖 #-[ 編集]
拍手鍵コメ・aさま~いらっしゃいませ♪
aさま、いらっしゃいませ♪

小鳥居くん目線です。現在、語るような恋愛事情もないもんですからwww

キリ番はどういうわけか、重複します。どうしてそうなるのかは日高にもわかりません。お友だちのブロガーさんによれば「当たり前」なのだそうですから、それで納得しておきます。

拍手&コメントありがとうございました!
2018/08/09(木) 22:31 | URL | 日高千湖 #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/08/09(木) 23:38 | | #[ 編集]
Re: 鍵コメ・aさま~いらっしゃいませ♪
aさま、連投ありがとうございます!

いつも応援ありがとうございます!!

毎日暑いですね。電気代は怖いですww雨が降らないですよ、日高さん地方も。小雨もないですよ!!昨日は35度だったんですが、涼しいとさえ思う(笑)

小鳥居くんはですね、皆さんに「今一つわからない人」として認識されていますので書き易いんですよ(笑)目一杯離れた所からの視線になりますから。

章ちゃんたちは次話に出てきております。花火に関しては、日高は小鳥居くんと同じような感じです。花火はガラス越しで観たい派(笑)蚊が嫌なんですよねwww思いっきりインドア派なので日高は信ちゃんのお手伝いで良いです。

小鳥居くん、爪痕を残せるでしょうか?少なくとも、圭ちゃんには構ってもらえて小鳥居的には満足かも!

> 長期天気予報をみて、がっくり、。お盆過ぎでも、酷暑が西日本&東日本を襲うようです。日高様もお気を付け下さい♪

ありがとうございます。aさまもお忙しい中、コメントありがとうございます。ご無理はなさらないでくださいね!
お互いに体調には気をつけながら、夏を乗り切りましょう~♪すでに立秋ですからね。そろそろ、そろそろ、気温も落ち着くはず!(希望も込めて!)

拍手&コメントありがとうございました!
2018/08/10(金) 07:03 | URL | 日高千湖 #-[ 編集]
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